東ティモールの子どもたちに、サッカーを通じて夢と希望を届けたい。
そんな想いから始まった「夢をつなぐサッカープロジェクト」が、昨年に続き、2025年10月に東ティモールで開催されました。
本プロジェクトでは、Jリーグにご協力いただき、J1〜J3の11クラブから寄付を受けたユニフォームやサッカーボール、ビブスなど合計762点のサッカー用具を子どもたちに届けました。

また、元ガンバ大阪の木場昌雄さんをコーチに迎え、東ティモールで支援活動を続ける「シェア=国際保健協力市民の会」と「JICA」の両団体にもご協力いただき、10月3、4日の2日間にわたり、現地で小学生を対象としたサッカー教室を実施しました。
現地の活動の様子をレポートします。
きっかけは、大統領からの一言
このプロジェクトのきっかけは、2024年7月に行われた、ラモス=ホルタ大統領と日本財団ボランティアセンターの山脇会長との会談でした。
学生ボランティアの派遣による教育支援活動について報告した際、大統領から「東ティモールの国民的スポーツであるサッカーの支援もできないか」と依頼を受けたことに始まります。
▼ラモス=ホルタ大統領との謁見についての詳細はこちら
東ティモールに3,000点の衣類を配布、学生ボランティア派遣プログラムを実施中
https://vokatsu.jp/journal/20240813/
昨年は、Jリーグ7クラブから寄付を受けた446点のサッカー用具を東ティモール国内で配布。2024年11月には首都ディリでサッカー教室を開催し、幼児から小学生まで110人の子どもたちが、木場さんの指導を受けました。


ボールを追いかけながら無邪気に笑う子どもたちの姿が印象的な1日となり、「また来てほしい」という声が寄せられました。
そして、その想いに応える形で、今年もプロジェクトが実施されました。
▼昨年の様子
昨年を大きく上回る、762点のサッカー用具を配布
2025年の実施にあたり、再びJリーグに協力を呼びかけたところ、クラブ数、寄付数ともに昨年を大きく上回る支援が集まりました。今回は、J1~J3の11クラブからユニフォーム、サッカーボール、ビブスなど合計762点のサッカー用具が寄付されました。

【サッカー用具の寄付にご協力いただいたクラブ】
・柏レイソル
・FC東京
・川崎フロンターレ
・アルビレックス新潟
・徳島ヴォルティス
・サガン鳥栖
・栃木SC
・松本山雅FC
・アスルクラロ沼津
・FC大阪
・ギラヴァンツ北九州
▼【映像】762点のサッカー用具が東ティモールへ|Jリーグ 11クラブの支援で広がった子どもたちの未来
地方で初開催したサッカー教室
寄付いただいたサッカー用具を使用し、昨年同様木場さんをコーチに招き、今年もサッカー教室を開催しました。
今年は2日間にわたり開催し、1日目は首都ディリを離れて地方で初開催し、2日目はディリで実施しました。
初日の会場となったのは、首都から車で約1時間のメティナロ郡ベサヘ。この地域では、これまでプロの選手やコーチから直接指導を受ける機会がほとんどなく、外国人が訪れること自体も多くありません。

当日は、ベサヘ小学校の小学4年生~6年生の男女50名程度の児童が参加。初めは、緊張した様子だった子どもたちも、寄付いただいたユニフォームを着用し、練習が始まってボールを蹴り始めると、すぐに笑顔が広がっていきました。



今年は60個以上のサッカーボールの寄付を受けたため、サッカー教室では子どもたち1人ずつにボールを渡し、ドリブルの練習などすることができました。
東ティモールではサッカーボールそのものが貴重で、個人で所有することが珍しくありません。子どもたちにとっては、思いきりボールに触れる時間は、特別な体験となりました。


学生ボランティアが運営をサポート
本プロジェクトは、「子どもと未来を創る ソーシャルアクションキャンプ in 東ティモール」第3陣として派遣された10名の大学生ボランティアが運営をサポートしました。
用具の配布や準備を行い、ウォーミングアップや練習では子どもたちと一緒に体を動かしながら交流しました。


参加した学生ボランティアの入井 優希奈さんは、サッカー教室を通して感じたことを話してくれました。

「東ティモールの子どもたちが楽しそうにボールを追いかける姿を見て、私自身も心から楽しいと感じることができました。また、私の拙いテトゥン語に必死に耳を傾けながら指示を理解して練習する姿を見た時は嬉しかったです。
自分から行動することそのものが、誰かとのつながりや笑顔を生むのだと気づけた時間は、これから先も忘れられない経験です」
学生ボランティアも子ども同様に、初めは緊張した様子でしたが、言葉が通じなくても、サッカーを通じて自然と心が通い合う光景が、あちこちで見られました。
また、サッカー教室を開催した2日間は、東ティモールで活動するJICA海外協力隊の方々にも運営をサポートしていただき、通訳や誘導などで協力いただきました。

練習の最後には、子どもたちの東ティモールチームと、学生ボランティア・JICA海外協力隊の日本チームとの試合を実施。試合終了間際に東ティモールがゴールを決め、2-1で勝利をすると、子どもたちだけではなく、先生や保護者からも大きな歓声が上がりました。

2日目は、首都ディリでサッカー教室を開催し、約50名の小学生が参加してくれました。
昨年と同じ会場での開催となったこともあり、前回のサッカー教室に参加してくれた子どもたちの姿も見られました。
中には、「前回が楽しかったので、今年もぜひ参加したかった」と話す子どももおり、より積極的にボールを追いかけたり、木場さんの指導を聞く姿が印象的でした。


サッカーがつなぐ、子どもたちの未来へ
サッカーを通じて生まれた笑顔や交流は、子どもたちにとっての楽しい思い出であると同時に、未来へとつながる小さな一歩でもあります。
そして、学生ボランティアにとっても、世界と向き合い、自分自身の価値観を見つめ直す貴重な経験となりました。
木場昌雄さんは、今回のプロジェクトを次のように振り返ります。

「昨年に続いて、こうした機会をいただけたことに感謝しています。子どもたちが本当に楽しそうにサッカーに取り組む姿を見て、今年も幸せな気持ちになりましたし、こうした活動を続けていくことの大切さを改めて感じました。

今年は初めて地方で開催しましたが、ゴールが決まった瞬間、プレーしている子どもたちだけでなく、学校全体が一体となって喜ぶ姿はとても印象的で、サッカーが持つ力の大きさを強く感じました。
また、今年は「楽しむ」ことに加えて、技術的な部分にも少し踏み込み、子どもたちがミスを恐れずに挑戦する姿を見ることができたのも良かったです。

東ティモールの子どもたちはとても明るく、海外の人から学び、自分たちも成長したいという意欲を強く感じます。これからも、この国がさらに発展していくことを願っています」
今年、Jリーグ11クラブから寄付されたサッカー用具は、サッカー教室で使用した用具以外にも、日本財団ボラセンから、JICA 東ティモール事務所、シェア=国際保協力市民の会、東ティモール大統領府の3つの団体を通じて、現地の子どもたちのもとへ届けられ、サッカー教室に参加した子どもたちだけではなく、教室に参加できなかった地域の子どもたちにも配布されています。

サッカーをきっかけに生まれたつながりは、国や言葉を越えて、子どもたちの未来へと続いていきます。
「夢をつなぐサッカープロジェクト」は、これからも人と人、そして想いをつなぐ活動として歩みを続けていきます。