ボランティアの基礎知識

“観る側”から”つくる側”へ。アジア競技大会のボランティア活動とは?

2025年10月27日
スポーツ グローバル
“観る側”から”つくる側”へ。アジア競技大会のボランティア活動とは?

4年に一度開かれるアジア最大のスポーツの祭典「アジア競技大会」と「アジアパラ競技大会」(以下、総称して「アジア大会」と呼ぶ)。2026年9月から、愛知県・名古屋市を中心に開催されます。アジア各国から集まる選手や観客を迎え、会場の雰囲気を盛り上げる上で欠かせない存在がボランティアです。本大会のボランティアは、大会をスムーズに進めることはもちろん、アジア各国の人たちと交流できる特別な機会にもなります。

この記事では、「国際的なスポーツ大会で活動してみたい」「ボランティアを通じて人と関わりたい」という人に向けて、活動内容やその魅力について分かりやすく紹介していきます。また、学生ボランティアは、2025年10月末まで募集中。この記事を読み進め、ぜひ参加を検討してみてください。

▼愛知・名古屋2026大会 学生/専門ボランティアの募集はこちらから
https://www.volunteer-aichi-nagoya2026.com/

アジア競技大会・アジアパラ競技大会とは?

2022年に開催された杭州アジア大会の閉会式の様子

アジア大会の歴史

握手をしている様子

「アジア競技大会」と「アジアパラ競技大会」は、ともにアジア最大のスポーツの祭典。4年に一度、アジア各国・地域が一堂に会し、スポーツを通じて交流を深めています。

「アジア競技大会」が始まったのは1951年。第二次世界大戦後、アジアの絆を取り戻したいという平和への願いを込めて開催されました。一方で「アジアパラ競技大会」は、1975年にスタートした「極東・南太平洋身体障がい者スポーツ大会」を引き継ぐかたちで誕生し、障害のある選手たちが力を発揮できる舞台として発展してきました。また、競技の場では互いに真剣に勝負しますが、試合の後は国境を越えて友情を育み、アジア45の国と地域から集まる選手たちの国際的な交流を大切にしています。

愛知・名古屋2026大会は2026年9月に開幕!

次回の大会は、2026年9月から愛知県・名古屋市を中心に全国5都府県で開催されます。日本での開催は実に32年ぶり、3回目となります。

「第20回アジア競技大会」は、9月19日から10月4日までの16日間にわたり41競技が実施されます。大会スローガンは「IMAGINE ONE ASIA ここで、ひとつに。」。選手、ボランティア、観客など、関わるすべての人が時間や体験、感動を分かち合い、ひとつになろうという思いが込められています。大会には、約1万5,000人の選手・役員が参加する予定です。

続いて、「第5回アジアパラ競技大会」は、10月18日から10月24日までの7日間に18競技が行われ、約4,000人の参加が見込まれています。大会のスローガンは、「IMAGINE ONE HEART こころを、ひとつに。」で、競技場に立つパラアスリートたち一人ひとりを想像し、誰もが心をひとつにする大会を目指しています。また、アジア大会は、その競技数がオリンピック以上に多いことも特徴。「カバディ」や「セパタクロー」など、アジアならではの競技も登場するのが大きな魅力です。

アジア競技大会で実施される競技・カバディ
アジアパラ競技大会で実施される競技・車いすフェンスング

期待が集まるアジア大会ボランティア

アジア競技大会とアジアパラ競技大会のボランティアは大会運営を支えるだけでなく、各国の人々と直接ふれあい、大会の印象をつくる重要な存在です。愛知・名古屋2026大会では、ボランティアたちは「ONE ASIA CREW」と呼ばれ、その活躍が期待されています。

▼愛知・名古屋2026大会についてのレポート&コラムはこちら
愛知・名古屋2026大会のボランティア募集!「アジア大会の顔」として特別な体験を | ぼ活!

アジア大会ボランティアの活動内容は?

人々が手を合わせ、協力を象徴している画像

「大会ボランティア」と「都市ボランティア」の違いは?

アジア大会のボランティア活動には、大きく分けて「大会ボランティア」と「都市ボランティア」の2種類があります。どちらも大会に欠かせない役割を担い、参加者や観客の体験をより良いものにするために活動します。

「大会ボランティア」は、観客案内や選手サポートなど、大会そのものを支える活動です。会場の競技会場やメインメディアセンター、宿泊施設など大会関連の場所で活動します。活動期間は10日以上、1日あたりの実働は8時間程度です。大会の組織委員会が運営しています。

一方「都市ボランティア」は、会場外での観光案内や誘導を通じて街全体で大会を盛り上げる活動です。活動場所は主要駅や最寄り駅周辺、観光地や港などで、活動期間は5日以上が目安です。1日あたりの実働時間は大会ボランティアと同じく8時間程度。運営は開催都市が主体で行っています。

続いて、「大会ボランティア」「都市ボランティア」の活動内容の詳細を紹介しますので、ぜひイメージを膨らませてみてください。

「大会ボランティア」の活動内容

大会ボランティアの活動内容はとても幅広く、以下のようなものがあります。

①観客案内サポート
チケットチェック、入場管理のサポート、会場内の観客の誘導や案内、フォトスポットのカメラマンなど

②運営サポート
運営、各種対応サポート、開会式・閉会式での選手誘導、メダルセレモニーでのプレゼンター補助、会場に取材に来たメディアの対応など

③スタッフ受付サポート
スタッフのチェックイン受付、スタッフ休憩所の管理、運営

④会場運営サポート
無許可販売業者の会場パトロール、入場時の手荷物チェックの補助

⑤ラウンジサービス
VIPラウンジの運営、案内

⑥大会準備サポート
アクレディテーションカードの作成、ユニフォームの配布、聖火リレーのサポート

⑦競技運営サポート
競技の進行補助、選手のサポート、選手の招集・誘導、用具の準備、記録員や審判員の補助

⑧輸送サポートなど
車両の運転、乗降場での案内、大会関係者の運転手、関係者駐車場での受付、観客用シャトルバスの乗降場での誘導など

⑨言語サポート
外国語でのコミュニケーション補助、選手の宿泊施設等に設置されるインフォメーションセンターでの言語サポート

⑩選手サポート
選手団の来日から出国までのすべてをサポート

⑪テクノロジーサポート
無線機やPCの故障の交換受付、IT担当スタッフのサポート

⑫医療サポート
医務室、救護室の運営サポート、ドーピング検査のサポート

特別な資格や語学力がなくても活躍できる活動があるので、ボランティア初心者も参加できます。

「都市ボランティア」の活動内容

都市ボランティアの活動内容はシンプルです。

①観光・交通案内サポート
観光地や会場最寄り駅、港などでの観光・交通案内

②誘導案内サポート
最寄り駅から会場までの道案内

初心者でもすぐに参加しやすく、街の“顔”として来訪者を迎える大切な役割になります。

アジア大会ボランティアの参加方法は?

この章では、アジア大会ボランティアに参加するまでの確認事項や流れについてご説明します。

なお、愛知・名古屋2026大会の大会ボランティア、都市ボランティアの募集は既に終了しています。以下の条件や要項は、愛知・名古屋2026大会のボランティア募集のものです。条件は、各大会ごとに異なりますので、応募の際に確認するようにしましょう。

ボランティアに応募する前に確認すること

募集要項を満たしているか確認する

ボランティアに応募する前に、次の点をチェックしておきましょう。

・年齢条件:2026年1月1日時点で18歳以上(未成年は保護者の承諾が必要)
・言語条件:日本語で日常会話・読み書きができること
・参加条件:採用イベントや研修に参加できること
・在留資格:外国籍の場合は有効な在留資格を持っていること
・規約同意:募集要項や参加規約に同意すること

「個人応募」と「グループ応募」を決める

ボランティアへの応募は「個人応募」と「グループ応募」が可能。「一人で参加するのが不安…」という人や、友人や仲間と一緒に思い出を作りたい人はグループ応募を選ぶのもおすすめです。また、応募時には、参加したい活動内容を最大3つまで選択できます。必ず希望が通るわけではありませんが、興味のある活動に参加できる可能性があります。

「採用イベント」に参加する

ボランティアに応募する上で「採用イベント」の参加は必須です。愛知・名古屋2026大会ボランティアに関する説明会のほか、グループワークを実施して適性を確認し、採用可否が決まります。

参加が決まったあとの流れ

研修を受講する

採用が決まったら、次は研修を受けます。研修はオンラインやeラーニングで実施されます。

・共通研修:ボランティア活動の基本、障害がある方への対応など
・リーダー研修:ボランティアリーダー向けの研修(希望者の中から採用)
・役割別研修:担当する役割に必要な知識を習得
・会場別研修:活動する会場や競技の概要を学ぶ

これらの研修を受けることで、本番の活動に参加できるようになります。

支給品や待遇について確認する

大会に参加するボランティアには、オリジナルデザインのユニフォーム一式(ポロシャツ・パンツ・キャップ・バッグ・シューズ)が支給されます。活動終了後は記念品として持ち帰ることが可能です。また、活動中の飲食や、自宅から会場までの交通費も支給される予定です。安全面では、スポーツ安全保険に一括加入し、ボランティア自身の負担はなく、万が一の怪我にも対応できる体制が整っています。

さらに、活動終了後にはボランティア証明書を受け取ることができます。特に、高校生や大学生にとっては、進学や就職活動での自己PRにつながる場合もあるので、受領フローを確認しておきましょう。

▼ボランティア証明書についての基礎知識はこちら
ボランティア証明書のもらい方とは。高校生・大学生にとってのメリットも紹介 | ぼ活!

アジア大会を“つくる”ボランティア活動の魅力とは?

アジア大会での開会式の様子

アジア大会ボランティアには、大規模な国際大会ならではの特別な魅力がたくさんあります。

大規模な国際大会ならではの特別体験

アジア各国から選手や観客、VIPが集まる大会は、普段味わえない国際的な雰囲気そのものが魅力です。また、通常は立ち入ることができない競技会場の裏側や選手村に入ることもできます。大会がどのように作り上げられるのかを肌で体感しながら、自分も大会を支える一員として活動することで、大きな達成感を得られるでしょう。

世代や国籍を超えた仲間との出会い

ボランティアとして集まるのは、学生から社会人まで、さまざまな世代・職業・国籍の人たちです。アジア各国から多くの人が参加するため、日本とは異なる多様な文化やマナーに触れる機会もあります。学校や職場では出会えない人たちとの交流は、新しい刺激や学びにつながるはずです。

語学力を試す実践の場

アジア大会は、選手や外国人観光客の案内役として、日本語や英語の他、中国語や韓国語をはじめとするアジア圏のさまざまな言語を使ってコミュニケーションできるチャンスです。また、外国語に自信がなくても、身振りや表情を交えることで交流することができます。言語や文化が異なる人たちとのやり取りを通じて、簡単な挨拶や案内からでも積極的にコミュニケーションを取ることによって、自信や実践力につながるでしょう。

日本で開催された国際的なスポーツ大会のボランティア例

日本で開催された国際的なスポーツ大会の代表例として、東京2020オリンピック・パラリンピックがあります。アジア大会と同じく「大会ボランティア」と「都市ボランティア」の両方で活動が行われました。

参加者の多くが「多様性について意識するようになった」と話しており、ボランティア活動を通して自身の考え方や行動に変化があったことが報告されています。

東京2020オリンピック・パラリンピックで、競技の補助を行うボランティア
東京2020オリンピック・パラリンピックで、会場の外で大会を盛り上げるボランティア

▼パラリンピックボランティアの基礎知識はこちら
パラリンピックのボランティア。「大会の成功」を陰から支える活動とは | ぼ活!

以下のレポート&コラムでは、東京オリンピックに参加したボランティアたちが実際に体験した、国際大会ならではのエピソードや学びを紹介しています。ぜひ読んで、イメージを膨らませてみてください。

▼東京2020大会の活動レポートはこちら
東京2020大会の感動!オリンピックボランティアの心温まるエピソードをご紹介 | ぼ活!

アジア大会ボランティアで心に刻まれる特別な体験を

アジア大会ボランティアは、スポーツの枠を超えた国際交流の場であり、さまざまな人と関わりながら貴重な体験ができる絶好のチャンスです。さらに、学生ボランティアや専門ボランティアは2025年10月末まで募集中。「何か新しいことにチャレンジしたい」「思い出に残る経験をしたい」と考えている学生は、ぜひこの機会に応募してみてください。未来につながる特別な体験が待っています。

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参考資料

・公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会https://www.aichi-nagoya2026.org/(参照2025-9-19)

・公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会”ボランティア特設サイト”https://www.volunteer-aichi-nagoya2026.com/(参照2025-9-19)

・公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会”大会エンブレム・大会スローガン”https://www.aichi-nagoya2026.org/tournament/slogan/(参照2025-9-19)

公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会”アジアパラ競技大会の歴史”https://www.asianparagames-2026.org/tournament/history/(参照2025-9-19)

・公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会”アジア競技大会の歴史”https://www.aichi-nagoya2026.org/tournament/history/(参照2025-9-19)

・朝日新聞”アジア大会一般ボランティア、2万5千人が応募 目標を7千人上回る”https://www.asahi.com/articles/AST5N4CH3T5NOIPE00DM.html(参照2025-9-22)