ボランティアの基礎知識

スポーツボランティアとはどんなもの?活動内容や参加するメリット、探し方を紹介

2024年5月17日
スポーツ
スポーツボランティアとはどんなもの?活動内容や参加するメリット、探し方を紹介

スポーツボランティアとは?

マラソン大会で応援したり、ゴールテープを持ったりしているスポーツボランティアの様子

スポーツボランティアというと、スポーツの大会で会場の設営や案内などの活動をしている人を思い浮かべる方が多いかもしれません。

文部省(現・文部科学省)による『スポーツにおけるボランティア活動の実態等に関する調査研究協力者会議』(2000)では、スポーツボランティアとは「報酬を目的としないで、クラブ・団体の運営や指導活動を日常的に支えたり、また、国際競技大会や地域スポーツ大会などにおいて、専門的能力や時間などを進んで提供し、大会の運営を支える人のこと」と定義されています。

つまり、スポーツボランティアの活動の機会は特別な大会だけではなく、日常的にスポーツをする人や応援する人をサポートする場合もあるのです。具体的にはどのような活動があるのか、また参加するメリットや募集の見つけ方など、スポーツボランティアについての基礎知識をご紹介します。

スポーツボランティアはどんなことをするの?

車いすバスケットボールをする少年と向き合うスポーツボランティアの男性

スポーツボランティアの活動は、主にスポーツクラブやスポーツ団体での定期的な活動と、イベント開催時のような不定期の活動の2つに分けられます。ほかに、プロスポーツ選手やトップアスリートが行う「アスリートボランティア」もありますが、ここでは一般の人々が行う活動に焦点を当てます。

スポーツボランティアの活動内容①:クラブ・団体ボランティア

地域のスポーツクラブやスポーツ団体における、日常的かつ定期的なボランティア活動が「クラブ・団体ボランティア」。具体的な活動内容のひとつが、監督やコーチ、または指導アシスタントなどとして、クラブ・団体のメンバーにそのスポーツを教えるボランティア指導者です。また、クラブ役員や監事となって団体を率いたり、世話係となったり、運搬や運転、広報、データ処理を担うなど、クラブや団体の運営を支える運営ボランティアもあります。

スポーツボランティアの活動内容②:イベントボランティア

地域で行われる運動会や市民マラソン大会のほか、国民スポーツ大会(国スポ。以前の国民体育大会、国体のこと)やオリンピックなどのような国際大会で活動するのが「イベントボランティア」。こちらは、非日常的かつ不定期に行われるスポーツ大会でのボランティア活動です。大会の実施には様々な役割があるので、ボランティアの活動内容も専門性が必要なものから誰でも参加できるものまで、多岐にわたります。

専門性が求められるボランティアは、審判員や医療救護員、通訳、大会役員など。一方、誰でも参加しやすいのが、案内・受付、マラソンコース等での給水・給食、記録・掲示、交通整理、運搬・運転などを行うボランティア活動です。ホストファミリーとして、選手の滞在や訪問を受け入れる活動もあります。例えば市民マラソン大会なら、受付や給水、コース整理などに加え、視覚障害者のランナーをサポートする伴走ボランティアランナーが募集されることもあります。

スポーツボランティアのメリット

荷物の預かり場所で記念撮影をするスポーツボランティアたち

では、スポーツボランティアにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

日本スポーツボランティアネットワークが2019年に行った調査では、スポーツボランティアとして活動した10~70歳代の男女のうち、約8割が「新しい体験ができた」と答えています。切磋琢磨する選手たちが力を出せるようサポートすることは、普段の日常生活とは一味違う高揚感や、やりがいが感じられるようです。

次に多かったのが「たくさんの人たちと知り合えた」の6割で、「他の世代の人とかかわりが増えた」も5割近くと、人との出会いや繋がりをメリットに感じている人も多数。不定期のイベントボランティアでも、大会後にボランティアが集まる機会が用意されているものもあり、そうした場でも交友を広げる人もいます。

ほかにも「視野が広がり、物事のとらえ方が変わった」や「社会や人の役に立つことができた」が5割近くで、自分の成長や人への貢献を実感できたという声もありました。

このようにスポーツボランティアに参加すると、他の人のサポートをする側としてだけでなく、自己成長や人との出会いなど、自分自身が得られるものも多くあることがわかります。

スポーツボランティアの活動例

受付で選手と話すスポーツボランティアの女性

それでは、実際にどのようなスポーツクラブ・団体や、大会でスポーツボランティアが活躍しているのか、具体例をいくつかご紹介します。

スポーツボランティアの活動例①:プロスポーツクラブ

プロのスポーツ選手が所属するクラブやチームも、スポーツボランティアによって支えられています。例えば下記のようなクラブが、一般のボランティアにサポートしてもらいながら、ホームゲーム運営や地域イベントなどを実施しています。

クラブ例:

・サッカー/川崎フロンターレ

・バスケットボール/千葉ジェッツふなばし・東京ユナイテッドバスケットボールクラブ

・ラグビー/静岡ブルーレヴズ

スポーツボランティアの活動例②:スポーツ関連団体

各種競技のスポーツ大会や教室の開催、あるいは体育館や施設の管理を行う団体も、一般のスポーツボランティアを募って、大会等の運営をサポートしてくれる人を募集しています。

団体例:

・公益財団法人スペシャルオリンピックス日本

・公益社団法人日本エアロビック連盟

・公益社団法人日本チアリーディング協会

・一般財団法人札幌市スポーツ協会

・スポーツコミッションせんだい

・しがスポーツボランティア協議会

スポーツボランティアの活動例③:マラソン大会

イベントボランティアの中で、初心者の方でも気軽に参加しやすいのが、地域のマラソン大会のボランティアです。受付や給水・給食などのサポートをすることで、ランナーたちを 支えることができます。ほかにも、コース沿道の整理や観客の案内誘導などをして大会を成功へ導く大切な役割を担います。

マラソン大会例:

・さいたまマラソン

・わっかない平和マラソン

・MINATOシティハーフマラソン

・新宿シティハーフマラソン・区民健康マラソン 他

スポーツボランティアの活動例④:国際大会

選手への案内のカードを掲げたり、受付の対応をしたりするスポーツボランティアたち

誰もが知る国際的なスポーツ大会でもボランティアが活躍しています。2021年に開催された東京2020オリンピック・パラリンピックに続き、2025年には世界陸上や、聴覚障害者のオリンピックと呼ばれる「デフリンピック」が東京で、また2026年には愛知県等でアジア競技大会、アジアパラ競技大会が開かれます。スポーツボランティアの活動の機会は、今後も広がっていくことが予想されます。

東京2020オリンピック・パラリンピックのボランティア

東京2020オリンピック・パラリンピックで活動したスポーツボランティアは、競技会場や選手村などで式典や競技の運営、選手の移動をサポートをする「大会ボランティア」と、競技会場周辺や主要駅で観客を案内する「都市ボランティア」に分けられていました。ただし、新型コロナウイルスの影響が残る中での開催となったため、大会ボランティアには会場や器具の清掃・消毒のような役割が加わりました。一方、無観客開催となって観客へのサービスや誘導がなくなった都市ボランティアは、大会の応援や、開催地の魅力発信、安全安心な大会運営のサポートといった活動がメインに。そのような変更も重なり不安や困難がありながらも、スポーツボランティアたちは精一杯活動し、大会の成功に貢献しました。聴覚や視覚に障害がある人もボランティアとして参加し、年齢や性別、障害の有無などの違いを超えた絆も生まれています。

東京オリンピック・パラリンピックでのボランティア活動についてはこちらの記事をどうぞ

ぼ活!ジャーナル『オリンピック・パラリンピック1周年記念イベント「TOKYO FORWARD」参加ボランティアに聞く、これからのTokyo2020』

ぼ活!ジャーナル『国立競技場にボランティア集合、有観客のフィールドに立つ

東京2020オリンピック・パラリンピックへの“感謝”イベント』

ぼ活!ジャーナル『「聞こえない人、聞こえる人、ともに活躍できる大会」~東京2020大会ボランティアインタビュー~』

ぼ活!ジャーナル『ボランティア活動に障害はない?「見えない」をバリアフリー化した仲間のサポートとは?』

デフリンピックのボランティア

オリンピックやパラリンピックでボランティア活動をしてみたいけれど、今後開催される海外での大会に行くのは難しいと感じる方も多いと思います。そんな方には、国内で開かれる国際大会でのボランティアもおすすめです。

例えば、2025年11月に東京で開催される「デフリンピック」のボランティア。

デフリンピックとは、聴覚障害があるアスリートによる国際スポーツ大会です。障害があるアスリートのスポーツ大会として知られるパラリンピックの出場対象者は、基本的に肢体不自由者・脳性麻痺者・視覚障害者・知的障害者のみ。聴覚障害だけの選手が力を発揮できる大きな国際大会は、このデフリンピックなのです。

デフリンピックのスポーツボランティアの活動には、聴覚障害がある選手を誘導するために手話が必要なものと、受付や用具運搬などが主で手話が不要なものとがあります。手話のスキルに限らず参加できるので、興味のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。ボランティアの募集を2024年11月から開始予定です。

デフリンピックや、デフ陸上国際大会のボランティア活動についてはこちらの記事をどうぞ

ぼ活!ジャーナル『2025年東京開催のデフリンピックをご存じですか? ~デフ陸上国際大会運営ボランティアレポート~』

ぼ活!ジャーナル『聴こえない人の世界大会とは?!ボラセンスタッフが見た「デフリンピック」』

スポーツボランティアの注意点

給水を行うスポーツボランティアの女性たち

スポーツの現場に赴くスポーツボランティア。選手や観客の誘導をしたり、会場の設営をしたりと体を動かす機会も多いので、健康な状態で元気に参加できるよう体調を整えることが大切です。長時間屋外で活動することもあるので、夏場は特に熱中症対策も徹底しましょう。

気をつけていても、アクシデントでケガをしてしまったり、ほかの人にケガを負わせてしまったりすることがあるかもしれません。そのようなときに自身の入通院や相手への賠償をサポートしてくれる「ボランティア保険」にも加入しておきましょう。

ボランティア保険について詳しくはこちらの記事をどうぞ

ボランティアの基礎知識『ボランティア保険とは?対象となる活動や保険の種類をわかりやすく解説』

スポーツボランティア活動募集を探す

それでは、実際にスポーツボランティアに参加してみたい!という方に向けて、スポーツボランティアの探し方や募集についてご紹介します。

スポーツボランティアの探し方

自分が暮らす地域や通うことのできる場所のプロスポーツクラブやスポーツ関連施設、スポーツ大会のサイトでボランティアの募集がされていないかチェックしてみましょう。気になるクラブや大会の名前のあとに「ボランティア」と入れて検索すれば、募集ページが最初に表示され簡単に見つけられる場合もあります。

ぼ活!でボランティア活動・セミナーを探そう

「ぼ活!」でも、ボランティア活動に参加してみたいと思った方に向け、ボランティア案件を紹介しています。

ボランティア案件を探す

また、日本財団ボラセンが事務局を務める連絡協議会「 スポーツボランティアネットワーク」などのボランティア関連情報をご紹介する「スポーツボランティア情報 ポータルページ」も併せてご利用ください。

※詳細、お申込み、お問い合わせは、各団体にお願いいたします。

スポーツボランティア情報 ポータルページ

ボランティア募集だけでなく、ボランティアに役立つセミナーやイベントのお知らせやボランティアの体験レポート記事なども掲載されています。

ボランティア初心者から上級者まで、気になる情報がもりだくさんなので、ぜひチェックしてみてください。

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ボランティアの体験レポート記事

     参考資料

・笹川スポーツ財団,“Ⅱ.スポーツボランティアとは”

https://www.ssf.or.jp/Portals/0/resources/research/report/pdf/2014_report_21_2.pdf(参照2024-2-28)

・笹川スポーツ財団,“スポーツボランティアとは?スポーツボランティアの種類と実施状況”

https://www.ssf.or.jp/thinktank/volunteer/volunteer_list.html(参照2024-2-28)

・日本財団,“スポーツボランティア個人に関する活動調査 2019― 報 告 書 ―”

https://www.volacen.jp/pdf/2019-sportsvolunteer-survey.pdf(参照2024-2-28)