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記念すべき第1回大会をぼ活!ボランティアがサポート
第1回東京・海の森トライアスロン2022

2022年12月12日
スポーツ
記念すべき第1回大会をぼ活!ボランティアがサポート<br>第1回東京・海の森トライアスロン2022

東京ゲートブリッジを臨む広大な競技会場である「海の森水上競技場」。東京2020オリンピック・パラリンピックではボート、カヌー競技が行われたこの地で、記念すべき第1回の「東京・海の森トライアスロン2022」が開催されました。

朝から快晴に恵まれて、真夏が戻ってきたような強烈な日差しの中、競技に臨む選手たちを、ぼ活!で募集したボランティアが支えました。

様々な役割のあるトライアスロン大会のボランティア

朝7時ごろ、会場に集まったボランティアのみなさんは約40人。スタッフとのミーティングを経て、活動場所ごとにグループに分かれて手際よく各配置に散っていきました。その間も駐車場には参加選手たちの車が続々と入ってきており、その車を誘導しているのもボランティアです。

会場内では、軽快なポップソングをバックに、元オリンピック選手の庭田清美さんと、日本のトライアスロン界の草分け白戸太朗さんのMCが会場を盛り上げ、最初の競技項目はスイムに向け、ウェットスーツに着替えた選手たちが集まり始めて、いよいよスタートです。

トライアスロンのスタートにはいくつかパターンがあって、今大会はウェーブごとのローリングスタート。一般男子・女子、パラ、高校生などで分けられたグループごとに、数名ずつ順番にスタートします。選手の足首に巻くアンクルバンドで記録が計測されます。

競技開始前、そのアンクルバンドを配布する係を務めていたのは鮫島和佳子さん。今回の参加のきっかけは、大学サイトに掲載されていた「ぼ活!」サイトの案内でした。いろいろなボランティア情報を見ているうちにトライアスロンに目が止まったそう。ボランティア活動に参加するのはこれが二回目。

「コロナ禍のいま、背景の違う刺激的な人と出会うことは、大学の中にいるだけではなかなか難しいということが、今回参加の強い動機にもなりました。ボランティアでは、年齢も性別の違う人たちとの交流がとても刺激になりました」

続いて、参加選手の受付での活動を終え、次の活動場所へ向かうところの杉谷胡桃さんにお話を伺いました。

「元々ボランティアに興味があって、今回初めて参加しました。トライアスロンってなかなか自分から観戦しない競技で、珍しかったので、逆にやってみようかな」と、今回のボランティアを選んだとのこと。

彼女もコロナ禍のど真ん中で学生生活を送っていました。高校卒業の年にコロナ禍が始まり、現在は大学3年生。その間、特に1、2年生の頃はほとんどキャンパスにも行けませんでした。今年からようやく対面での活動が始まり、人との交流を広げる更なる「きっかけ」として参加しているということでした。

「すごい朝が早かったけど、『自分の体力がこんなにもつんだ』と意外でした!」と笑顔で話してくれました。

スイム、バイク、ランと目まぐるしく種目が変わるのがトライアスロンの特徴。それに伴ってボランティアスタッフの配置も次々に変わっていきます。昼食や休憩も回しながら、一人が複数の仕事をこなしていきます。

会場内の駐車場には美味しそうなカレー、オムライス、豚丼などのキッチンカ―が出店していて、綺麗な海と空を見晴らしながら、ボランティアの皆さんもお昼休みをとっていました。

オムライスをチョイスしたという佐中徹 さんは、東京2020オリンピック・パラリンピックのボランティアに参加したことがきっかけでボランティア活動を始められたということです。大会時には、外国から来る方の入国の手続きなどを英語で案内して、特にパラリンピックの選手たちとの交流が印象に残っているということでした。

「普段の生活とは全く関わりのないところへ、非日常に混ざれるというところがとても楽しい」とボランティアの魅力を語る佐中さん。

次のボランティア予定を訪ねると「自営業だから比較的時間はとれるので、募集が出れば全部に応募して、どんどん参加したいです。災害のボランティアももちろん参加したいけど、最近はスポーツボランティアが特に面白いと思っています」とのこと。すでに、次回はアクアラインのマラソン大会の通訳に挑戦する予定ということでした。

競技も大詰め ボランティアの活動も佳境に

午後になり、種目のメインはバイクとランに移行していきます。バイクのコースはもちろん広く、埋立地の会場には見渡す限り日陰がほとんどありません。バイクが目の前をものすごい勢いで走っていきます。段差の揺れでバイクボトルを落としてしまう選手もいて、なかなかに緊張感のある持ち場のようでした。

ジェーン・マークさんは、そのバイクコースの傍らに立って、選手たちがコースを間違えないように目印となり、道路の段差などに注意を促す担当からスタートしました。

マークさんは、コンゴ民主共和国出身で4年ほど前に仕事で来日。母国にいた頃からボランティア活動は行っていたそうで、日本に来てからも災害の復旧作業などで、全国各地へ足を運んでいるということです。

「ボランティアは大好き、help、そのものが好き」と語るのがとても自然で格好いいマークさん。実は、柔道二段、バドミントンのナショナルチームに所属していたこともあり、バスケットボールの国際審判員の資格も持っていて、スポーツは8種類やっていると、まるで選手としても参加できそうな筋金入りのスポーツマンでした。

大会はいよいよ終盤のラン。ランコースの途中のエイドステーション(水などの補給場所)からは、暑さ対策としてボランティアがホースで水を撒いています。選手たちがその水を恵みのように浴びてゴールを目指します。朝からずっと泳いで、ペダルを漕いで、そして走り続ける選手たちには汗びっしょりです。

選手たちが走り終わったバイクコースの片付けを終えて、ボランティアの仲間たちと談笑しながらフィニッシュエイド(ゴール地点)へ向かうのは、向計樹 さん。

「スポーツを実際にやるわけではなく、自分にはそういうスキルがあるわけでもないけれど、大会に間近で参加できるのがスポーツボランティアの醍醐味ですね」と語る向さん。

「ボランティアは年配の人が多い。可愛がってもらえて良いこともあるけど、同世代も増えてくれるといいですね」笑顔で話していました。

トップの選手たちがゴールし始めて、ゴール地点の周辺はにぎやかになってきました。

日本人の方も外国人の方も、ゴールしてから振り返ってコースに一礼する選手が多かったのが印象に残りました。建物の日陰になったスペースに腰を下ろして息を整えながら談笑する選手たち。一息つくと、過酷なレースを共に完走した競争相手への敬意と、大会を支えたスタッフたちへの共感が自然に芽生えてきたのだと思います。みんなで一緒に写真を撮ったりして盛り上がりました。スタート前の緊張感とはうってかわった和やかな空気と笑顔の波が広がっていました。

未知の体験と仲間との交流をもつことができるのがボランティア活動です。楽しいからやる、それはボランティアの皆さん全員に共通していました。自分の限界に挑戦する選手たちを支えるスポーツボランティアの機会を、ぼ活!ではこれからもご紹介していきます。

TEXT by 益子 義昭
PHOTO by 鰐部 春雄

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