ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が開始されて1年となった2023年2月24日、ウクライナ避難民支援を行う団体を集めたカンファレンスが、オーストリアのウィーンで開かれました。
主催したのは、日本財団ボランティアセンターが日本から派遣した101名の学生ボランティアを受け入れ、ポーランドやオーストリアでのウクライナ避難民支援活動の場を提供した国際団体「The Social Work HUB」。カンファレンスには、日本財団ボランティアセンターも招待され、ウクライナ避難民支援活動に参加した5名の学生が参加しました。
本記事では、参加学生の一人である、中嶋萌香さん(「The Volunteer Program for Ukraine」Group6参加)によるカンファレンスのレポートを紹介します。
カンファレンス参加学生による、ウィーンのウクライナ避難民支援施設の取材レポートは、
こちら▼
「変化したウクライナ避難民の支援ニーズと支援施設|ウクライナ避難民支援 現地レポート vol.2」
様々な支援団体が参加
オーストリアを拠点に活動する国際団体のThe Social Work HUBが2023年2月24日にオーストリアのウィーンにて、カンファレンス「#Tell Your Story」を開催しました。
このイベントには、ポーランドにてウクライナ避難民の学習支援を行うEducation HUBや、食糧支援を行うKhalsa Aid、ウクライナろう連盟やDEAF BRIDGEといった聴覚障害者を支援する団体など多くのボランティア関係者が招待されました。その中で、昨年日本財団ボランティアセンターが主催するウクライナ避難民支援活動によって派遣された日本人学生5名と、有志の学生たちが立ち上げた団体「Student Charity for Ukraine」に参加するウクライナ人の留学生1名が招待され、カンファレンスに参加しました。
カンファレンスのテーマは「story telling」。
専門的な知識を披露したり、立派な演説をするのではなく、それぞれのボランティア経験を自分の言葉で伝えるというものでした。
“Welcoming the Unwanted”、“Let’s get involved”、“Why we support volunteers”などテーマごとに5つのセクションに分かれ、各セクションごとに数名のスピーチが行われました。
また、スピーチ以外にも参加者同士による対談や、自分の感じたことや意見を壁に書く「express yourself」など、様々な形で経験や想いが語られました。
今回のイベントには聴覚などに障害のある方も多く参加されていた為、ウクライナ語と英語の同時手話通訳が行われ、私たち学生だけではなく、障害のある人の立場でも経験が語られました。
改めて感じたボランティアに共通する想い
イベントを通じて、2つのことを強く感じました。
1つ目は、ボランティアの在り方についてです。
ボランティアに参加しようと思ったきっかけや理由、どのような方法でボランティアをするのか。
様々なボランティアのスピーチを通して、これら問いに対する答えが1つではないこと、1人ひとりがこの問いに対して違う答えを持っている事を強く感じました。ある人は、過去にボランティアに助けてもらった経験がきっかけとなり、ある人はとにかく人の笑顔が好きだから人助けをしたいという理由で、ある人は悲惨な戦争のニュースを見て、遠く離れた場所から自分には何ができるのか考えてボランティアに参加したりと、誰1人として同じ答えは無く、それぞれのボランティアの在り方がありました。
しかし、「ボランティアはこうあるべき!」という共通した考え方が無いからこそ、時に意見が合わず衝突する事もあります。実際に私がウクライナ難民支援活動のボランティアに参加した際もボランティア同士で意見が異なり、時間をかけて話し合うことが何回もありました。また、状況によって自分の思い描くボランティアができずに、悩む場面も多くありました。自分のやっていることは、はたして誰かの為になっているのだろうか。これを続けていて意味があるのか。ボランティアをする中で、こういった葛藤を感じた事のある人もいると思います。
では、何故それでも私達はボランティアをするのか。それは、「人の為に何かしたい」という共通した想いがあるからだと思います。これは、私がカンファレンスを通して感じた事の2つ目です。たとえ、きっかけや動機は異なっても、ボランティアは、「誰かの為に行動したい」という想いを持っているはずです。
‘’PEOPLE NEED PEOPLE’’
ある参加者のスピーチの中にあった、この言葉が強く私の心に響き、残っています。
避難民やボランティアという立場に関わらず、私たちはみんな、互いの支えが必要だという事です
ボランティアという立場で活動する際も、私は多くの人の力に支えられ、助けられてきました。自分1人で成し遂げた事なんて1つも無かったと思います。。
‘’People need people’’ この言葉を聞いた時に、私は多くの人に救われてきた様々な場面を思い出しました。そして同時に私も誰かの支えになり続けたいと強く思いました。
「ボランティア’」としてではなく、1人の人間として、誰かの力になりたい。目の前の人を助けたい。という単純な想いが原動力となり、わたしたちを動かしてくれているのだと改めて感じました。
TEXT by 中嶋萌香