日本財団ボラセンが2023年に創設したボランティアを称えるアワード「ぼ活!MARCH AWARD 2024」が、3月2日に開催されました。受賞者に感謝とエールを贈った授賞式の様子を紹介します。
ぼ活!MARCH AWARDとは?
「ぼ活!MARCH AWARD」は、多様性あふれる優しい社会づくりに貢献したボランティアや、ボランティア活動を支援する団体に感謝とエールを贈るアワード。今年は会場となった聖心女子大学の聖心グローバルプラザにたくさんの関係者が集まる中、賑やかに授賞式が行われました。
選考基準
「ぼ活!MARCH AWARD」は、団体表彰と個人表彰の2つのカテゴリーに分かれています。団体表彰は、ボランティア活動を行う団体やボランティアを支援する団体の中から、「先駆性・独自性」、「発展性」、「連続性」、「継続性」の選考基準をもとに、表彰選考委員会で選考された団体です。個人表彰は、他のボランティアの模範となるリーダーシップや、活動への想いなどのストーリーといった選考基準をもとに、表彰選考委員会で選考されたボランティアです。
第2回目となった2024年は、3団体、13名が受賞しました。
団体表彰
NPO法人 災害救援レスキューアシスト
団体紹介:2016年に設立された災害支援団体。熊本地震、⼤阪北部地震での救援活動を経て、2019年にNPO法⼈へ移⾏。災害現場では、ぼ活!で派遣する災害ボランティアのコーディネートや技術指導をしている。元⽇に発生した「令和6年能登半島地震」では、発災直後から石川県珠洲市に⼊り、現地での救援活動を続けている。また、ぼ活!セミナーの災害ボランティア研修でも講師を務める。
受賞コメント
このような賞をいただき嬉しく思います、ありがとうございます。これまでの私たちの主な活動は、災害が起きてから始まるものでした。しかし、日本財団ボランティアセンター・ぼ活!の皆さんからのお声がけで、災害のない時にも定期的にテーマを堀り下げて伝え広める活動を行うことができました。また、能登半島地震では、1月3日より石川県珠洲市で支援活動を続けています。助かった命を守り、災害関連死から被災者を守り、1人の犠牲者も出さないことが、私たちNPO団体共通の使命だと考えています。これからも皆さんの力をお貸しください。
株式会社 読売新聞東京本社
団体紹介:昨年3⽉に開催された「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™」において、⽇本開催の試合の共同主催者として、⼤会史上初めてとなるボランティアの受け⼊れに尽力。その他、プロ野球シーズン開幕後は、東京ドームでの試合で、特別支援学校の生徒とその家族が、親⼦で一緒にボランティア活動を⾏う機会を創出するなど、プロ野球における新たなボランティア文化の醸成に貢献。
受賞コメント
この度は受賞する栄誉を得たこと、誠にありがとうございます。1年前、野球日本代表の侍ジャパンが3回目の優勝を飾り、日本のスポーツ界の歴史に刻まれる大会となりました。その際、ボランティアの皆様に初めて運営をサポートいただき、歴史に残る大会となりました。ボランティアの皆様に温かく見守っていただき、そしてあふれる笑顔とポスピタリティで大会を大いに盛り上げていただき、心の底から感謝申し上げます。
一般財団法人 渋谷区観光協会
団体紹介:2012年4⽉に渋谷区と東京商工会議所が共同で設立した一般財団法⼈。官民協働による観光事業の振興を通して、「渋谷ブランド」による魅力的な街づくりを推進している。防災から文化イベントまで、幅広い分野の魅力的なボランティア機会を提供している。
受賞コメント
この度はぼ活!MARCH AWARD 2024 団体表彰で賞をいただき、ありがとうございます。渋谷区はおかげさまで、インバウンドの観光客が大変多く訪れていただける街でして、彼らに新しい渋谷を見せていこう、渋谷の中で社会の未来を感じてもらおうということを中心に様々なプロジェクトを作っております。これからもボランティアの皆様と一緒にそういったイベントを作って盛り上げ、新しい明るく優しい未来を見せていけたらいいなと思っております。
個人表彰
(五十音順、敬称略、氏名下は受賞コメント)
相原雅文
ボランティアは特別なことではないので、まず楽しむのが大事で、楽しそうだからやってみよう、と思ってくれる人が少しでも増えたらいいなと思い、出前授業「ボ学」の講師でもそれを子どもたちに伝えています。
飯塚誠
自分は災害ボランティアを多くやっているのですが、災害に遭って、住む家がなくなったり、つらい思いになっている人の心の支えに少しでもなれたらと思って、活動しています。
板宮梨沙
海さくらでの活動によく参加しています。遠方なので始発に乗っての参加ですが、初めて参加した時からアットホームで、受け入れてくれる感じがあって、今では活動を通じてできた友人と会うための大切な時間になっています。
小川歩美
ボランティアを通じて人と人とのつながりが広がり、携わるボランティアの幅もアートやSDGsなどに広がりました。自分自身も、これからボランティアをやる人にとってのガイド、コンシェルジュのような存在になれたらと思います。
乙部恵子
東京オリンピック・パラリンピックの後に、海さくらでのビーチクリーンに参加し始めて、2023年は皆勤で参加できました。これからも、背伸びせず、自分のできることを、ライフワークとして続けていきたいです。
菊池未樹
自分の弱さや苦手を受け入れながら、スポーツボランティアを通じて、「なりたい自分」の時間を得られているのは、仲間の存在が大きいです。これからも自分らしく活動を続けていきたいと思います。
木田建二
会社の研修で、障害のある方の災害時のサポートのことを知って以来、パラスポーツのボランティアなどに参加しています。ボランティアとして自分を必要としてくれる人がいるということが、自分にとってもうれしいです。
白鳥里桜
災害支援活動に参加して、現地に行かなければわからないことがたくさんありました。求められることや必要なニーズは、被災者の方によって異なるため、傾聴や一人ひとりに寄り添うことが大切であることを活動から学びました。
鈴木萌香
災害支援は、住民の方の笑顔を見た瞬間に一番のやりがいを感じます。4月から社会人になり、ボランティア活動ができる時間は限られてしまいますが、これからは地域の防災活動など、身近な活動にも取り組んでいきたいです。
竹澤真治
ボランティアを楽しめる環境をつくってくれている家族や会社の仲間に感謝です。ボランティアの輪を広げたいと思って活動をしていて、受賞はとてもうれしいですが、まだまだ通過点として、また明日からもフラットな気持ちで、ボランティアをしたいなと思います。
堀越浩平
初めてボランティアに参加するような人にも「楽しい」と感じてもらえるように、休憩のタイミングや体調の良し悪しなどに気を配っています。いろんなバックグラウンドの人と出会って、休憩時間などにその人生の一端のお話を聞くのも楽しみの一つです。
山﨑剛
ボランティアは余暇の時間でやるものなので、携わってくれた人が充実感を感じられるような時間になればいいなと思いながら、お互いにサポートし合うことを大事にして、活動できるように心がけています。
渡辺翼功
活動を通して多くの人と関われる機会をもらい、自分とは違う考え方に気づき見識が広がりました。自分自身に何ができるのかも分からない状態から、一緒に活動した人たちに助けられながら、ボランティアの必要性、自らの成長、やりがいを実感することできました。
団体受賞者には、表彰状とトロフィー、花束を贈呈。個人表彰者には表彰状と花束の他、副賞として、これからもボランティア文化を広める歩みを続けていってほしいという願いを込めて、ぼ活!MARCH AWARDのロゴカラーを使ったオリジナルスニーカーが贈られました。
プレゼンターを務めた日本財団HERO’sアンバサダーで元全日本女子バレーボール代表の大林素子さんは、現在GMを務めているバレーボールチーム、ブレス浜松での経験から「いろいろなイベントでボランティアの方を募集することがありますが、本当に皆さん心よく参加していただいています」と、感謝の気持ちを述べるとともに、「日本財団ボランティアセンターの登録者が3万人を超えたそうですが、もっともっと大きな輪になるように、これからも様々な形で応援していきたいと思いますので、一緒に頑張っていきましょう」と、参加者全員に呼びかけました。
トークセッション
その後、行われたトークセッションには、日本財団ボランティアセンター参与で、今回ファシリテーターを務めた、文教大学の二宮雅也氏、個人受賞者の中から、相原雅文さん、小川歩美さんが壇上に上がり、同じく受賞者の白鳥里桜さん、鈴木萌香さんは、ボランティア活動中の石川県珠洲市からオンラインで参加しました。
白鳥さんと鈴木さんからは元日の能登半島地震から2ヶ月以上が過ぎた避難所の様子と、長期的な支援の必要性が伝えられました。大学生のふたりは、被災者の方からかけられる感謝の言葉にやり甲斐を感じるとのこと。
一方、出前授業「ボ学」の講師として、中学校を中心にボランティア活動をしている相原さんは、中学生たちに「災害支援などの大きな活動だけではなく、まずは自分のため、楽しそうだから、というところから始めても、それが結果として最終的に人のためになることがある」とボランティアを始めるきっかけについて話しているそうです。
さらに、さまざまなスポーツボランティアに参加している小川さんは、たとえボランティアに参加する動機が「スポーツ選手を生で見てみたいといったミーハーな理由であっても構わない」と、自身の体験談を話されました。
皆さん、それぞれ活動内容は違いますが、ボランティア活動を通じて、自分たちもたくさんのものを得ているそうです。
最後に、二宮氏が「ボランティアとは一つの領域ではなく、感じるもの、学べるもの、選べるもの、さまざまな広がりを持つもので、そのダイナミズムをぜひ感じてほしい」と総括して、ぼ活!MARCH AWARD 2024は終了しました。
TEXT by 濱中香織、PHOTO by 岡本 寿