ボランティアの基礎知識

被災地のためにできること。災害ボランティアへの参加方法&体験談

2024年7月8日
災害
被災地のためにできること。災害ボランティアへの参加方法&体験談

災害時に被災地を支援するためにできること

地震の被災地で倒壊した家屋の梁を運ぶボランティアたちの様子

地震や台風などの自然災害が多い日本。どこかで大きな被害があると、自分にも支援できることはないかと考える方も多いでしょう。そんなとき、被災地の復旧・復興に貢献できるのが災害ボランティアです。ただ、一言で災害ボランティアといっても、種類は様々。被災地に赴いて行う活動はもちろん、遠方から間接的に支援する活動もあります。今回は災害ボランティアの種類や参加方法に加えて、被災地で実際に活動した人たちの体験談もご紹介。被災地の力になりたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

被災地を支援するボランティア活動の重要性

地震の被災地で崩れた家屋から家財を取り出すために瓦礫を片付けるボランティアたちの様子

大きな自然災害が起きたとき、被災者の方たちはなんとか命が助かったとしても、心身に大きなダメージを負っています。瓦礫や土砂に覆われた地で、二次災害への不安を抱えつつ、避難所で見知らぬ人との共同生活。そのような状態で暮らしを一から立て直していくことは難しく、被災地の人たちの力だけでは対応しきれないこともあります。だからこそ、被災地以外の人たちの長期的な支援が重要です。

被災地支援のためにできる3つのこと

地震の避難所で足湯を利用する人の手をさすりながら会話するボランティアたち

被災地のためにできるボランティア活動というと、現地へ赴いて行うものだと考える人が多いかもしれません。もちろんそうした「被災地でのボランティア活動」もありますが、「支援物資の送付」や「義援金・支援金の寄付」も被災地を支える重要なボランティア活動です。それぞれの活動内容について解説します。

①被災地でのボランティア活動

被災地を訪れ、現場で活動する災害ボランティア。被災地の社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを立ち上げ、被災者のニーズを集約しているので、それに応じて支援活動を行います。

活動内容は瓦礫の撤去や泥の掻き出し、建物内の清掃、炊き出しなど多岐にわたります。時間の経過とともにボランティアへのニーズは変化していき、力仕事だけではなく、被災者の方々の内面のサポートも必要となっていきます。

被災地まで足を運ぶボランティアたちは大きな力になりますが、災害直後には被災地の受け入れ体制が整っておらず、どんな支援が必要かもわからない状態です。そのため、参加したい場合は社会福祉協議会が公式サイトやSNSで発信している最新の情報を収集し、受け入れ体制や募集情報を確認することが大切です。その際は、被災地の方に負担をかけないよう、自治体などに電話やメールで問い合わせることは避けましょう。

そして、被災地へ実際に向かうときには、自分で食料や宿泊先、交通手段などを確保したり、保険に加入したりすることも必要です。この点は後ほどご説明します。

②支援物資の送付

災害時には、被災地で食料や衣類、薬などが不足するため、支援物資を送り届けることも大切です。しかし、送るときには注意も必要です。

被害が大きければ交通規制の影響で輸送サービスが滞り、届くまでに時間がかかる場合も。そして、被災地に届いてからも、中身の確認や仕分けをする人手が足りていないかもしれません。受け取る側でスムーズに対応してもらえるよう、送る側では1つの箱に1種類のものを入れる、中身が何かを箱に書くなどするとより親切です。

また、必要とされる物資は、災害発生時の季節や発生からの経過日数などによっても変化します。同じ被災地でも、避難所によって食料が必要なケース、衣類が必要なケース、生活用品が必要なケース、といったようにそれぞれで状況が異なることもよくあります。何が求められているのか、ここでも情報収集が重要です。すべて確認して用意するのが難しければ、支援団体が指定する物資を購入し、指定の場所へ送るかたちで協力できるとよいでしょう。

③義援金・支援金の寄付

物資ではなく、お金を寄付して支えることもできます。金銭的な支援は物流の負担がなく、様々な目的で使える柔軟性の面でも有効です。

その寄付には「義援金」と「支援金」があります。

「義援金」は、日本赤十字社や赤い羽根共同募金などの団体が受付窓口となり、被災者に渡されるものです。被災した都道府県が設置する義援金配分委員会を通して被災者へ平等に分けられるため、届くまでに時間がかかりますが、現金での貴重な支援となります。

一方、「支援金」は、被災地で活動するボランティア団体などに送り、活動資金にしてもらうもの。使い道は収支報告などを行うことを条件に各団体に任せられていて、すぐに活用されます。自分が支援したい団体を選び、後押しすることも可能です。

日本財団では、被災地のための支援金を受け付けています。寄付の100%が、ボランティア団体やNPOの支援活動への助成やボランティアの派遣など、実際の災害支援活動に使用されます。支援のひとつとして寄付を考えている方はぜひチェックしてみてください。

直接的な災害支援。被災地でのボランティア活動に参加するには

地震の被災地で瓦礫を片付けるボランティアたちの様子

物資や金銭での支援もあるけれど、やはり被災地で災害ボランティアとして役に立ちたいという方もいるでしょう。災害ボランティアに参加する場合、前述のように、事前の情報収集や準備が必須です。その手順を簡単にご紹介します。

災害ボランティアに参加する方法と手順

災害ボランティアには、2つの参加方法があります。

まずは、被災地の災害ボランティアセンターで受付・登録して活動する方法です(事前登録が必要な場合もあります)。現地へ向かう前に自分で情報収集し、持ち物の準備や宿泊・交通手段の確保もしておく必要があります。

また、独自でボランティアを募り、災害支援を行う団体(ボランティア団体やNPOなど)の活動に参加する方法もあります。行程の段取りを団体が行ってくれ、持ち物の案内などもしてもらえるため、初めての方も参加しやすいでしょう。

災害が起こった際には、ぼ活!でも、災害ボランティアを募集しています。

災害ボランティア活動の参加に向けた準備

被災地でのボランティア活動中、上記のように物資が不足しているなかで必要なものを調達することは難しくなります。事前に災害ボランティアセンターやボランティア団体のサイトを確認し、服装や持ち物をしっかり準備しましょう。マスクや軍手など、活動で身につけるものだけではなく、飲料や食料、保険証なども常備します。

被災地で怪我や体調不良を起こすこともあるので、ボランティア保険にも加入しておきましょう。活動中に家財を壊してしまったり、人に怪我をさせてしまったりしたときの補償もあるので安心です。手続きは、自分が暮らす各市区町村の社会福祉協議会で行います。

YouTube『【5分で学ぶ災害ボランティア③】装備と持ち物』

災害ボランティア活動をするための心構え

繰り返しとなりますが、災害ボランティア活動に参加する前に情報収集し、受け入れ状況や求められている活動を確認しましょう。被災地の方たちの気持ちを考えることがとても大切です。

例えば被災家財を扱うとき、もう使えないだろうと思っても、被災者の方にとっては大切なものである場合もあるので、丁寧に扱いましょう。

災害ボランティア活動参加に向けた準備や心構えは、こちらの記事や動画でも詳しくご紹介しています。

YouTube『【5分で学ぶ災害ボランティア①】きほんのき』

被災地でのボランティア体験談

地震の被災地で崩れた家屋の屋根瓦を片付けるボランティアたちの様子

被災地でボランティア活動をしてみたくても、これまで経験がないことで、参加を迷ってしまう方も多いかもしれません。そんな方は、被災地でボランティア活動した人たちの体験談を参考にしてみてください。

能登半島地震でボランティア活動に参加した人たちの感想

ここでご紹介するのは、2024年1月1日に石川県能登地方でマグニチュード7.6、最大震度7を観測した「令和6年能登半島地震」での災害ボランティア活動です。日本財団ボランティアセンターでは、1月4日からスタッフが石川県珠洲市に入り、瓦礫の除去や道路啓開などを行いながら、ボランティア派遣の準備を開始。1月17日~23日には災害ボランティア第1陣のメンバーを派遣しました。それ以降、6月までに第10陣を派遣し、ボランティアたちが瓦礫撤去や家財出しと、足湯や炊き出しなどを行ってきました。

瓦礫撤去や家財出し

地震の被災地で崩れた塀を細かく砕くボランティアたちの様子

地震の直後にはひどい土砂崩れやアスファルトのひび割れなどが起きていて、全壊・半壊している住居も多くありました。ボランティアたちは他の支援団体の方々と連携をとりながら、瓦礫や家財の運び出しを行いました。

ボランティア参加者の多くは、メディアを通してだけでは知りえない現実を目の当たりにし、衝撃を受けていました。そこで自分にできることはあるのか?と不安だったという人も少なくありません。それでも、下記のように「被災地に足を踏み入れたからこそ得られたものがあった」という感想が多く集まりました。

地震の被災地で崩れた家屋から畳を運ぶボランティアたちの様子

「壁材や畳などの片付けは一筋縄ではいきませんでした。瓦礫の中にも、人の思い出があります。私たちは一つひとつ、被災者の思いを背負って扱うことが大切だと思いました」

「今回の活動で進められた部分はごく一部で、自分の力は僅かだったと思いますが、感謝の言葉や涙を見せてくれる方もいて、やりがいを感じました。少しでも普通の生活に戻るための一歩を踏み出すお手伝いができていたら嬉しいです」

ほかのボランティアたちやスタッフから影響を受けたことや、感謝の想いを口にする人もいます。

「ボランティアメンバーはみんな積極的で動きが速かったので、自分もすぐに動くことを意識しました。休憩や食事のときには、ボランティア以外にも経験豊富なみなさんの話を聞いて、世界が広がるようでした」

「周りの方のサポートがあったおかげで、現地まで来て活動することができました。本当にありがとうございました」

避難所での足湯や炊き出しの実施

地震の避難所で足湯を利用する人の手をさすり、目を合わせて会話するボランティア

避難所では、被災された方たちが少しでも心が休まる時間を過ごせるようにと足湯を行いました。10~15分間、足をお湯につけている間、ボランティアたちは手をさすったりほぐしたり。会話を重ねるとだんだんと互いの緊張が解け、周囲には言えなかった本音を打ち明けてくれる利用者もいました。

地震の避難所で炊き出しの料理を被災者に手渡すボランティアの様子

また、温かい食事の炊き出しも行いました。調理だけではなく配膳もボランティアたちが担当し、一人ひとりに手渡すことで、ここでも会話が生まれます。「若い人が来ると避難所が明るくなる」といった言葉をかけていただいたことは、ボランティアたちの励みになりました。

地震の避難所で足湯を利用する人の手を握り、笑顔で会話するボランティア

「違うコミュニティから来た部外者であるからこそ、本音で話していただけることがあり、炊き出しや足湯を楽しみにしてくれている人の心の支えになれていると感じました」

「たった3日間でも、とても濃く、充実した活動が出来たと感じています。住民の方に喜んでもらい、笑顔が見られたことや、志を共に活動した新たな仲間と出会えたことは、今後の自分の活動や人生の糧となりました。別のボランティアのかたちでも参加したいです」

現地に行かなくてもできる、被災地支援のボランティア

街頭募金活動に参加し、並んで募金を呼びかけるボランティアたちの様子

被災者の方々を支援したいけれど、仕事や学校などの関係で実際に被災地へ向かうのは難しい方もいるでしょう。そんなときは、上記の物資の送付や義援金・支援金の寄付以外に、募金活動に参加して協力する方法もあります。

街頭募金活動

「能登半島地震」が起きたときには、約3週間後の1月27日に、東京都千代田区の有楽町駅前で支援金募金活動のボランティアを実施。ぼ活!サイトにご応募いただいた約60人の方々が参加してくれました。

参加者のなかには、石川県出身の方や、東日本大震災で被災した経験がある方も。多くの人たちが「被災地に行けなくても、なにか力になりたい」という共通の想いで、駅前を通る人たちに積極的に声をかけてくれました。結果37万円近い金額を集め、日本財団へと寄付することができました。

災害支援のボランティア活動を探す

地震の避難所で炊き出しの調理をするボランティアたちの様子

被災地を支援するボランティア活動を探す

被災地を支える災害ボランティアへの関心がより高まった方も多いのではないでしょうか。「ぼ活!」でも、ボランティア活動に参加してみたいと思った方に向け、ボランティア案件をご紹介しています。

災害ボランティア活動を中心に探したい方は、こちらをチェックしてみてください。

災害や被災地ボランティアについて備える、学ぶ

被災地でボランティア活動をするには、日ごろから災害に備え、アンテナを張り、知識をつけておくとよいでしょう。自分自身や大切な人を守ることになり、被災地で活動するときにも役に立ちます。

「ぼ活!」には、災害ボランティアに関するセミナーやイベントのお知らせもあります。

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まとめ

地震の避難所で炊き出しの料理を被災者に手渡すボランティアの様子

自然災害の被災地をサポートするためのボランティア活動と、災害ボランティアへの参加方法、実際に現地で活動を行った人たちの感想をお伝えしました。被災地へ赴くことはもちろん、遠い場所にいたとしても、被災地の方々を支援することは可能です。そしてその支援は災害直後だけではなく、長期間必要となります。被災地の方々のことを想い、一人ひとりが自分にできることで協力し続けていきましょう。

災害ボランティアについてもっと知りたい方はこちらの記事もおすすめ

参考資料

・内閣府大臣官房政府広報室,“被災地を応援したい方へ 災害ボランティア活動の始め方”

・国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン,“災害支援でできること|支援の現状や事例と被災地支援の3つの方法”

・株式会社クレディセゾン,“被災地支援は誰にでもできる!災害支援でできることを知っておこう!”