ボランティアの基礎知識

【ボランティア】能登半島地震・奥能登豪雨での支援活動や体験談を紹介

2024年12月24日
災害
【ボランティア】能登半島地震・奥能登豪雨での支援活動や体験談を紹介

2024年の石川県能登半島で起こった災害

能登半島地震で被災した家屋のがれき撤去の様子

2024年1月1日に能登半島地方を震源とする「能登半島地震」が発生し、石川県を中心に大きな被害が出ました。また、9月21日から断続的に降り続いた「奥能登豪雨」は、地震の被害エリアに再び爪痕を残しました。

石川県能登半島地震

大きな被害をもたらし、今も復旧や復興に向けた行政やボランティアらの活動が続く大地震について振り返りましょう。

能登半島地震の規模

能登半島地震は2024年1月1日午後4時10分ごろに発生しました。震源の深さは約16㎞で、地震の規模を示すマグニチュードは7.6でした。
この地震で石川県志賀町、輪島市で震度7を観測。震度7の観測は日本国内で7例目となり、2018年に発生した北海道胆振東部地震以来の記録です。

能登半島地震の被害

能登半島地震の揺れは広範囲に影響しました。石川県の輪島市、志賀町で震度7を観測したほか、七尾市、珠洲市、穴水町、能登町では震度6強、新潟県長岡市でも震度6弱を記録しました。
2024年11月26日時点の内閣府のデータによると、この地震による石川県内の死者は456人(災害関連死を含む)にのぼり、さらに富山県と新潟県でも災害関連死として計6人の死亡が確認されています。

建物の被害も甚大で、同日時点で石川県では約93,000棟の家屋被害を確認。隣接する富山県でも22,000棟以上の被害が発生しています。距離は離れているものの、新潟県新潟市西区では液状化現象が発生し、多くの家屋被害が出た結果、県内全体で23,000棟あまりの被害が報告されています。

また、能登半島地震の特徴の一つとして、地震による主要道路の寸断が挙げられます。「能登半島の大動脈」とされる国道が寸断されたことで、緊急車両の通行や物資輸送が困難となり、被災地の救援活動に大きな影響を及ぼしました。

奥能登豪雨災害

秋に能登地方を襲った大雨は、地震で被害のあった地域にさらなる打撃を与えました。奥能登とは、能登半島の最北部にある地域をさす言葉で、輪島市、珠洲市、穴水町、能登町が含まれます。

奥能登豪雨災害の概要

2024年9月21日から、北陸地方に停滞する前線や低気圧の影響により奥能登地方で線状降水帯が発生しました。気象庁は石川県内で初となる大雨特別警報を発表。河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎ、地域全体に深刻な被害をもたらしました。

奥能登豪雨災害の被害

2024年12月3日に石川県が発表した資料によると、奥能登豪雨による人的被害は県内全体で15人に及びました。
住宅被害も深刻で、最も多くの死者が出た輪島市では1,805棟が被害を受けました。能登町や珠洲市などを足すと県内全体で2,300棟あまりが被害に見舞われました。

豪雨の能登半島地震復興への影響

2024年9月に発生した豪雨は、地震復興中の地域にさらなる課題をもたらしました。土砂崩れによって集落が孤立し、物資輸送や避難活動が困難に。また、地震の仮設住宅の浸水も発生するなど、地震に苦しむ能登半島に追い打ちをかける形となりました。

能登半島地震、奥能登豪雨のボランティア

能登半島地震が発生した2024年1月に炊き出しを行うボランティア

能登半島地震の発生から1年が経とうとする2024年12月現在も、ボランティア活動の募集は続いています。復旧・復興においてボランティアはどのような役割を果たすのでしょうか。

災害ボランティアとは

災害対策基本法では、被災者支援は行政の責務とされています。しかし、すべての支援を行政が担うわけではありません。災害の発生時には行政に大きな負担が集中するため、少しでも負荷を軽減するためにも社会福祉協議会や、NPO・ボランティアの力が重要となります。
こうした行政とボランティアらが協働する仕組みの起源は、初めて震度7を記録した1995年の阪神・淡路大震災にさかのぼります。

その後、2004年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災などの大災害を経て、災害時にボランティアが活動する体制が整備されてきました。
現在では、大規模災害が発生した際に被災地の社会福祉協議会が災害ボランティアセンター(災害VC)を開設し、被災地のニーズを把握してボランティアの受け入れや調整を行っています。こうした取り組みは、ボランティア活動を効率的かつ効果的に進めるうえで重要な役割を果たしています。

被災地での活動例

被災地で行われるボランティア活動には下記の様な活動があります。復旧の進捗状況に応じて、活動の形態は変わっていき、能登半島地震の被災地で必要となるボランティアも日々変わっていきます。ここでは災害時ボランティアの活動例の一部を紹介します。

・避難所での炊き出し

・瓦礫撤去

・被災した家屋の片付け、水害の場合の泥出し

・被災者を元気づけるイベントの開催

・傾聴ボランティア(傾聴ボランティアとは、被災者の話に耳を傾け、心に寄り添うことで不安を軽減し、安心感をもたらすことにつなげます)

・足湯ボランティア (インフラの復旧が不十分で入浴が難しい時期に被災者に温まってもらうためのボランティアです。傾聴ボランティアと合わせて行うことで、被災者に安心してもらう場を提供しながら、話に耳を傾けることができます)

能登半島地震・奥能登豪雨で2024年12月現在募集されているボランティア

石川県災害対策ボランティア本部・公益財団法人石川県民ボランティアセンターが設けた石川県災害ボランティア情報サイトでは、能登半島地震、奥能登豪雨の災害ボランティアを募集しています。
その中で多く募集されている活動や実施自治体を紹介します。

災害廃棄物の片付け

地震や水害、台風などの自然災害に伴い発生する廃棄物は「災害廃棄物」と呼ばれます。能登半島地震でも多くの災害廃棄物が発生しており、石川県内や中部地方で全ての処理を行うことが難しくなったことから、東京都や横浜市など広域での処分が行われるほどです。
2024年12月現在も災害廃棄物の片付けを行うボランティアが募集されています。活動自治体は、輪島市や珠洲市など、被害の大きかったエリアです。

泥出し

奥能登水害で浸水に見舞われた家屋の泥出しをするボランティア

奥能登豪雨でも、水害による建物被害が多く発生しました。土砂をかぶるなどした被災家屋からの泥出しや清掃が必要になっています。活動自治体は、輪島市や珠洲市です。

能登農林水産業ボランティア

災害により、能登半島の農業にも被害は及びました。
2024年12月上旬の段階で、能登町や珠洲市で、シイタケの原木の積み下ろしやブルーベリー農園の草刈り、雪囲いの設置などの活動が掲載されています。募集内容は今後変更されることが想定されるため、最新情報を随時確認してください。

能登半島地震・奥能登豪雨災害の農業ボランティアはこちら
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/satoyama/borantia/nourinsuisangyou.html

参加方法

能登半島地震、奥能登豪雨のボランティア参加に興味のある方は、石川県災害対策ボランティア本部・公益財団法人石川県民ボランティアセンターのWEBサイトなどを確認しましょう。
日本財団ボランティアセンターでも、能登半島地震、奥能登豪雨のボランティアを派遣する際には、ボランティアプラットフォームサイト「ぼ活!」にて募集します。
他にもNPOなどの募集もあるので探してみましょう。
なお、ボランティアは、個人での参加以外にも企業や団体での参加も受け付けています。

注意事項

ボランティア活動では、被災地の状況に配慮し、ルールを守って行動することが大切です。活動を安全に行うための注意事項を記載しました。

感染症対策を徹底

被災地に感染症を持ち込まないように気を付けましょう。出発前の体調管理やマスクの着用、手指消毒など、対策を心がけてください。

被災家屋の清掃での注意点

けがの防止や石綿(アスベスト)の対策も必要です。肌の露出を抑えながら活動するようにしましょう。また、長袖を着用することはダニなどの感染症予防にもつながります。

自己負担が原則

宿泊費や食事、必要な資機材などは自分自身での用意が基本となります。

衣食住が整わないことがあります

ボランティアにあたり、寝袋での宿泊や断水により入浴できないなどのケースもあります。また、食事も簡易的なものになることがあります。、現在の能登半島の被災地は、ライフラインが復旧している場所も多いですが、発災直後の被災地へボランティアに行く際は、衣食住に関しての心づもりをするようにしてください。

被災地は遠い

能登半島地震、奥能登豪雨のボランティア活動では、金沢駅から被災地まで事前登録参加者を乗せる送迎バスも出ています。
珠洲市、輪島市までの所要時間は概ね3時間を予定しており、東京や大阪などから公共交通機関で行く時間も合わせるとかなりの時間が想定されます。簡単に行き来できる場所ではないことも念頭に置いておきましょう。

ボランティア保険に加入する

自分がケガをするだけでなく、思わぬ事故で他人にケガをさせたり物を壊してしまった場合には賠償責任が発生するかもしれません。そんなボランティア活動中のケガや事故をカバーしてくれるのがボランティア保険です。
活動日までに加入するようにしましょう。

ボランティア保険とは?対象の活動や加入方法をわかりやすく解説

「ぼ活!」で能登半島の災害ボランティアに従事した参加者の体験談

奥能登水害による被害が出た家屋の軒下の泥出しをするボランティア

日本財団ボランティアセンターが運営する「ぼ活!」ではこれまでに何度も能登半島の被災地に足を運び、ボランティア活動をしてきました。
ここでは参加者の声の一部をご紹介します。

地震ボランティアの参加者の体験談

発災した1月中旬から活動をした参加者の声

・参加者①
「テレビで見るだけでは分からない状況を目にして、災害の後に生じる様々な困難について知ることができました。これからも能登に関わっていきたいです」

・参加者②
「普通の生活が長期にわたって送れない辛さ、余震におびえて眠れない夜、先の見通せない不安、過去の人生全てを家屋倒壊とともに失った悲しみ、あまりに劣悪な状況の中でも、常に明るさや暖かさや思いやりを失わない珠洲の人たちを、継続してご支援するにはどうしたらいいのかを自問しています」

6月の第10陣に参加したボランティアの声

・参加者①
「逆にボランティアの人や地元の方にエネルギーをもらい、とても温かい気持ちになりました」

・参加者②
「改めて被災地に実際に向かうことの意義を考えさせられました。写真や動画を通した情報は増えていますが、それらは被災地の一場面を切り抜いたものに過ぎず、その街やその土地がどのような場所であるか、そこにどのような人たちがいて、どんな自然があるのかを想像するには圧倒的に情報が足りません。実際にその街を歩き、その街で流れる時間を感じるほかに、他所の土地で起きた災害について自分ごとの様に考える術はないと思います」

過去に募集した能登半島地震ボランティアの概要はこちら

奥能登豪雨ボランティア参加者の体験談

・10代女性・学生
「機械に比べると人間の力は微力ですが、狭いところで細かく繊細な作業ができ、住民の心に寄り添える人間は必要不可欠だと感じました。今回参加しただけで終わりではなく、帰ってからも自分の周りの人たちに被災状況や人手・資材不足、災害ボランティアの大切さについて伝えたいです」

・20代女性・学生
「能登の人のために何かしたいと思って参加しました。今回のボランティアを通じて、人一人の力がこんなにも意味のある支援になるのだと再認識しました」

・20代男性・公務員
「浸水家屋の泥出しや家財の清掃を行いました。泥出しを通じて復旧のお手伝いはできたと思う一方、被災を乗り越えて新しい価値を生み出す復興には道のりが長く、継続的に活動する必要性を強く感じました。また、企業でも役所でもないボランティアでしかできないことがたくさんある現状を学び、他の主体との役割分担や活動サポートのあり方について考えるきっかけになりました」

・20代女性・学生
「泥出しを行いましたが、全身が痛く、非常に肉体的に大変な作業ばかりでした。住民の方の優しさやボランティア仲間の声掛けでなんとか頑張ることができました。これと同じことを住民の高齢者の方が行うと考えると、彼らが災害直後絶望的な思いをしていたのだろうなと容易に想像でき、その気持ちを肌で感じることができたのもとても貴重な経験でした」

過去に募集した奥能登豪雨ボランティアの概要はこちら 

まとめ

2024年、能登半島は災害に見舞われ、多くの被害が出ました。被災者の皆さんが一日も早く、平穏な暮らしを取り戻せるようにするためにも、ボランティアの力は必要不可欠です。感想にもあるように、現地を訪れて感じること、得るものも多くあります。少しでも興味を持った方は、ボランティア活動に参加してみてはいかがでしょうか。

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参考資料
・内閣府”令和6年能登半島地震による被害状況等について”
https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/r60101notojishin/index.html(参照2024-12-04)
・石川県”令和6年(2024年)奥能登豪雨に関する情報”
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/saigai/20240921ooame.html(参照2024-12-04)
・内閣府”防災における行政のNPO・ボランティア等との連携・協働ガイドブック”
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/bousai_volunteer_kankyoseibi/pdf/h3004guidebook.pdf(参照2024-12-04)
・日本財団ボランティアセンター”第2陣災害ボランティア令和6年能登半島地震”
https://vokatsu.jp/event/1705896322141×143318235032322050 (参照2024-12-04)
・石川県災害対策ボランティア本部 公益財団法人 石川県県民ボランティアセンター”令和6年能登半島地震・令和6年奥能登豪雨 石川県災害ボランティア情報” 
https://prefvc-ishikawa.jimdofree.com/ (参照2024-12-04)