ボランティアの基礎知識

初めての方向け。災害ボランティア活動への参加方法や心得【基礎知識】

2023年1月13日
災害
初めての方向け。災害ボランティア活動への参加方法や心得【基礎知識】

更新日:2024/10/7

災害ボランティア活動とは?

災害ボランティアでできること

ボランティアの男性が、災害にあった家屋で活動を行う様子

災害ボランティア活動とは、地震や水害、火山噴火などの大規模な災害が発生した際、被災地のために見返りを求めず自発的に行う、復旧・復興のための支援活動のことです。 災害ボランティア活動でできることとしては、家屋の片付けや炊き出し等の直接的な復旧支援だけでなく、被災者の活力を取り戻すための交流機会作りや被災者への寄り添いなど、被災した地域や住民が、1日でも早く元の生活に戻るお手伝いをすることを目的とし、被災者のニーズに対応した活動を行います。

災害ボランティア活動の種類

ボランティアの方たちが災害にあった家屋から砂袋を注意しながら運び出す様子の写真

災害時には全国から「被災者、被災地のために手助けをしたい」とボランティアが集まってきます。災害の種類や、活動の実施時期によって支援ニーズは変化するため、災害ボランティアの活動内容も多岐にわたります。力仕事から、人と人との交流を主にする活動、現地に行かなくてもできる支援まで様々です。また、そういった支援は災害直後だけでなく、長期間にわたって行われます。

活動例

・がれきの撤去や分別
・泥だし、室内清掃
・引越しの手伝い
・炊き出し
・災害ボランティアセンター運営の手伝い
・被災者の言葉に耳を傾ける傾聴活動
・心のケアのお手伝い

災害ボランティアの種類① 力に自信がなくてもできること

災害ボランティアといえば、がれきの撤去など力作業が中心かと思われがちですが、力に自信がなくても行える災害ボランティア活動もあります。自分にとって無理なくできることを探してみましょう。

活動例

・写真洗浄
・避難所運営補助
・炊き出し
・子どもと遊ぶ
・被災者の言葉に耳を傾ける傾聴活動

災害ボランティアの種類② 現地に行かなくてもできること

実際に現地に行かなくてもできることとして、支援を送るという災害ボランティア活動もあります。

活動例

・支援金(災害支援をしている団体に届く寄付)
・義援金(被災された方に平等に届く寄付)
・支援物資を送る

支援物資を送る場合は、被災地の状況や現地の方の気持ちになって、本当に必要なものを必要な量だけ送ることが重要です。

災害ボランティアへの参加方法

災害ボランティア活動の参加の流れ

災害ボランティア活動を行う前に、ボランティアが集まり、心得や注意点について共有する様子の写真

災害ボランティアへの参加の仕方は、大きく分けて2つあります。被災地の災害ボランティアセンターに登録して参加する方法と、ボランティアを募っているボランティア団体やNPOの活動に参加する方法です。

被災地の災害ボランティアセンターに登録して参加する方法

災害によって被災した地域の市区町村で立ち上がる災害ボランティアセンターに直接赴き、受付・登録を済ませて活動を行います(事前登録制の場合もあるので注意しましょう)。災害ボランティアセンターは、被災者のニーズに合わせてボランティアの調整をします。ただし、あくまでボランティア参加者たちが被災地に着いてからの調整役です。参加者たちは現地に向かう前から情報収集や持ち物の準備、宿泊と交通手段の確認等をすべて自分で行う必要があります。

ボランティア団体やNPOの活動に参加する方法

独自でボランティアを募り、災害支援を行っているボランティア団体やNPOの活動に参加する方法もあります。その団体に所属したり、単発・短期の活動に参加することも可能です。事前に活動の内容や日程が組まれていて、持ち物の案内などもしてくれるケースが多いので、初めての方も参加しやすいでしょう。

災害ボランティアセンターとは

「災害ボランティアセンター」活動の様子の写真

先ほどから何度か出てきた「災害ボランティアセンター」とは、そもそもどんな組織なのでしょうか。 災害ボランティアセンターは被災地に駆け付けたボランティアによる混乱を防ぎ、その力を現地のニーズに結びつけコーディネートする組織のことです。 被災者の要望や被害状況、生活支援などを、心や気持ちなどの把握も努めた上で、市民ボランティアとともに支援のやり方を検討します。

平時は全国の市区町村にある社会福祉協議会(社協)という民間組織で、各種の福祉サービスや相談活動、ボランティアや市民活動の支援等々、さまざまな場面で地域の福祉増進に取り組んでいる社協が、発災時に災害ボランティアセンターを立ち上げて運営しています。

災害ボランティア活動に参加する心得や注意点

心得・注意点その① 災害ボランティアに参加する前は情報収集が重要

災害ボランティアの資料に注意書きを書き込む様子の写真

災害ボランティアに参加する前に、知っておきたい心得や注意点をご紹介します。
災害が発生したら、すぐにでも被災地へ向かいたいと思うかもしれませんが、現地の負担を減らすためにも、まずは被災地の状況を確認することが重要です。 事前の情報収集として確認すべきポイントを挙げていきます

1つ目は自分たちがボランティアとして現在受け入れてもらえる状況なのかを確認すること。
発災後は緊急期、復旧期、復興期とフェーズが変わっていきますが、緊急期は発災直後の人命救助を行っている段階です。一般ボランティアの受け入れが始まるのは復旧期に入ってからになります。そのころには災害ボランティアセンターにより、被災地ニーズの把握とボランティアのマッチング体制が整ってきますので、事前に確認してから出発時期を検討しましょう。

2つ目は募集要件をこまめにチェックすること。
一般のボランティアの受け入れが始まったら、誰でも参加できるのかというとそうではありません。募集地域が限られていたり、特別な技術をもったボランティアが対象の場合もあります。それらの募集条件は状況により変わることがよくあるので、定期的に確認することをおすすめします。

情報収集の方法

正確な情報収集を行う方法として、発災後には、被災地の市区町村や社会福祉協議会、またはそこで立ち上がった災害ボランティアセンタ-などのホームページを確認するようにしましょう。これらの情報は、facebookなどのSNSを利用して公開されているところも多く見られます(SNSやウェブサイトには古い情報も存在します。必ず最新の情報かどうか確認してください)。 また被災地の自治体へ直接電話をすることは避けましょう。職員の方は様々な緊急対応を行っているため、電話での問い合わせへの対応に時間を割かなければならなくなり、手が回らなくなってしまう可能性があります。

心得・注意点その② 災害ボランティア活動中に注意すべきこと

「ぼ活!」のロゴマークが入っているヘルメットの写真

ケガや熱中症に注意

災害ボランティア活動では、安全第一、怪我の防止、体調管理に注意しましょう。 災害ボランティアで特に多いのが熱中症です。ボランティア活動の現場では、ついつい一生懸命になりすぎて無理をしてしまうことがあります。慣れない作業や環境、装備により、体調を崩すこともあります。体調不良を起こすと自分のからだに負担がかかることはもちろんのこと、全体の活動の停止、現地の医療機関の負担を増やす事態にもつながります。こまめに水分・塩分補給をする、一定時間毎に必ず休憩をとるなど、いつも以上に配慮が必要です。

被災者の気持ちを考えて活動すべきと心得る

実際に災害ボランティアに入った場合、依頼者含め被災された方々の気持ちを想像して活動することはとても大切です。

「ボランティアをしてあげている」という気持ちではなく、活動を通して様々な経験や学びをもらえるという、謙虚な姿勢を心掛けましょう。また、活動後に一緒に活動したメンバーと集合写真などを撮りたくなるかもしれません。もちろん依頼者も様々で、気に留めない方もいると思います。しかし、人によっては、悪い印象を与えてしまう可能性があるということを、心に留めておいてください。それでも写真を撮る必要がある場合は、必ず住民に確認をとることを心掛けましょう。 同様に、被災家財の扱い方なども気を付けましょう。ボランティアからみると「もう使えないもの」であったり「災害ごみ」に見えるかもしれません。しかし、住民にとっては、とても大切な「思い出の詰まったもの」であるかもしれないのです。必ず丁寧に扱い、勝手に廃棄するようなことはしないでください。住民の方に確認して、判断をしてもらいましょう。

心得・注意点その③ 災害ボランティア活動後に振り返りを行おう

災害ボランティア活動について、学んだことなどをボランティア仲間同士で情報共有を行う様子の写真

災害ボランティア活動では、事前の健康チェックや活動中の体調管理だけでなく、活動後のボランティア自身の心のケアも重要になります。災害ボランティア活動後には「惨事ストレス」と呼ばれる体調不良など思わぬ症状を発症することがあります。 代表的な例だと、興奮状態が続いて寝付けない、頭痛、イライラや無力感、現場のことを思い出しフラッシュバックが起こる、活動のことを人に話したくない、現地の情報に触れたくない、孤立感にとらわれる…など様々です。 これらは、心と体が回復しようとするときに誰にでも起こる正常な反応です。まずはゆっくり休みましょう。その日感じたこと、学んだことを一緒に活動した仲間と共有したり、家に帰って家族に話すことで軽減されると言われています。 頭や心を整理するためにも、自分の中で抱え込まずに人に話すことが大切です。

災害ボランティアとして被災地へ行く準備は?

災害ボランティアの服装と持ち物

災害ボランティア活動を行う際に必要な物を確認している様子の写真

災害ボランティア活動に参加する場合は、服装や持ち物に迷うかと思います。ここでは最低限必要な服装や持ち物を、理由と共にご説明します。

服装や持ち物

・長袖長ズボン(夏場でも)…ケガ防止
・踏み抜き防止インソール…足元のケガ防止
・レインウェア(上下セパレートのレインウェアだと便利)…水害の泥だし、防寒
・マスク、防塵マスク(1日1個以上)…衛生面や砂塵の吸い込み防止
・ヘルメット…頭部を守る
・ゴーグル…目を守る
・軍手
・活動に合った手袋(水害ならゴム手袋、がれき撤去なら革手袋)
・ウェットティッシュ…水道があるとは限らない ・着替え
・スニーカー
・食料や
・ゴミ袋(70Lほど)…汚れものを入れる、雨の時に荷物を入れる

活動時に身に着けられるショルダーバッグやウエストポーチがあると便利です。貴重品、飲み物、応急セット、ボランティア保険証明書、保険証をひとまとめにしておきましょう。 災害が発生して間もない被災地では、現地での物資の調達ができないことが多く、できたとしても被災地の方に迷惑がかかることがあります。事前に必要な備えをして被災地に入りましょう。 また、ヘルメットなどは貸し出しを行っている場合があるので、活動前に災害ボランティアセンターやボランティア活動のWEBサイトやSNSをチェックしてください。

宿泊と交通手段

災害ボランティアは、移動や宿泊、食事をすべて自分で手配するようにしましょう。 宿泊については、被災後に営業を再開している宿泊施設が限られていたり、またそうした施設が被災者や復興関係者を優先させたりする場合もあるので、事前に確認してから宿を手配しましょう。もし事前に宿の手配ができなかった場合は、日帰りでのスケジュールを計画する方が良いかもしれません。

ボランティア保険への加入の仕方

装備や持ち物を万全にしていてもケガをしたり体調不良になる場合があります。 そんな時のためにボランティア保険には入っておく必要があります。 ボランティア保険はボランティア本人のケガだけでなく、家具などを壊してしまった時、他人にケガをさせてしまったり、熱中症や感染症にかかってしまった時なども補償の対象となる保険です。出発の前日までに加入手続きをすませ、被災地に向かう際には証明書を持参してください。

加入手続きができる場所は、ボランティアの方がお住いの各市区町村にある社会福祉協議会です。保険金額は市区町村により異なるので事前に確認するようにしましょう。 一度加入すれば、年度内有効で、複数のボランティア活動(複数の団体での活動)をされる場合も補償されます。

災害ボランティア参加当日の流れ

災害ボランティア活動を行う前に、持ち物を注意深く確認している様子の写真

災害ボランティアの準備が整ったあと、実際にどのような活動を行うのでしょうか。災害ボランティア活動の当日の流れの一例をご紹介します。

step1.災害ボランティアセンターに到着後、受付を行う
step2.オリエンテーション(家主の要望に沿った活動のための説明を受ける)
step3.マッチング(人数やできることにより活動が割り振られる)
step4.資器材準備(活動内容に応じた資器材を借りる)
step5.挨拶と活動内容の確認(家主に名前と所属を伝えて挨拶をします。具体的な活動内容を伝える)
step6.活動実施
step7.活動終了。挨拶と後片付け
step8.災害ボランティアセンターに戻り活動報告
step9.資器材の洗浄と返却を行う

災害の種類によっても変わりますが、1日の流れをざっと見ていきました。次では、実際の災害ボランティアの活動例をご紹介します。

災害ボランティアの活動例

「ぼ活!」のロゴマークが入っているTシャツを着て災害ボランティア活動を行う様子の写真

ボランティア活動のマッチングプラットフォームである「ぼ活!」では、今までにも様々な災害ボランティア活動に参加してきました。その一例をご紹介します。

能登半島地震での炊き出しや足湯ボランティア

2024年1月1日に石川県能登地方で発生した「令和6年能登半島地震」では、多くのボランティアが現地に赴きました。

「ぼ活!」でもボランティアの募集をかけ、避難所での炊き出しや足湯などの活動を実施。被災された方たちが少しでも心が休まる時間を過ごせるようにと、足湯に浸かってもらいながら会話を行いました。また、温かい食事の炊き出しでは、調理や配膳を行い、被災された方たちとの交流を行いました。「若い人が来ると避難所が明るくなる」といった言葉をかけていただいたことは、ボランティアたちの励みになりました。

▼能登半島地震のボランティア活動レポートはこちら
【能登半島地震】 災害ボランティア活動を開始

▼災害ボランティアの体験談をもっと知りたい方はこちら
被災地のためにできること。災害ボランティアの参加方法&体験談

その他、日本財団ボランティアセンターでは、災害ボランティア活動への学びを深める機会として、セミナーも行っています。災害ボランティアへの参加を検討している方は、ぜひこのセミナーを受講し、学んだことを活かしてみてください。

▼災害ボランティアのセミナー レポート記事はこちら
ぼ活!ジャーナル『災害で被災した家屋の復旧作業を学ぶワークショップ「災害ボランティア研修 〜エキスパート編〜」』

こちらの動画では、災害ボランティアについて紹介しています。災害ボランティア活動の基本から、当日の流れなどが5分ほどでわかりやすくまとめられているのでぜひチェックしてみてください。

【5分で学ぶ災害ボランティア①】きほんのき

【5分で学ぶ災害ボランティア②】心と身体の健康

【5分で学ぶ災害ボランティア③】装備と持ち物

災害ボランティアの募集案件

「ぼ活!」では、災害発生時に災害ボランティアを募集します。募集は、こちらでされます。
https://vokatsu.jp/search?type=ボランティア

※新型コロナウイルス感染の懸念があるなかでは、遠方からの災害ボランティア活動への参加により、感染を広めてしまう恐れがあります。このため、災害ボランティアの受け入れ地域を限定して募集している場合がありますので、被災地の最新の情報を確認してください。また、災害ボランティア参加時には感染対策の徹底を心掛けましょう。

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参考資料

・内閣府防災情報のページ.“防災ボランティア”
https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h22/01/special_01.html(参照2022‐10‐31)

・政府広報オンライン.“被災地を応援したい方へ 災害ボランティア活動の始め方”
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201909/4.html(参照2022‐10‐31)

・もし防.“災害ボランティアへの参加方法”
https://moshimo-bosai.com/how-to-attend-volunteer/(参照2022‐10‐31)

・Wikitravel.“災害ボランティアに出かける”
https://wikitravel.org/ja/%E7%81%BD%E5%AE%B3%E3%83%9C%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%81%AB%E5%87%BA%E3%81%8B%E3%81%91%E3%82%8B (参照2022‐10‐31)