ボランティアの基礎知識

海洋ごみ問題に向き合う、ゴミ拾いボランティア活動。その募集情報の探し方や始め方

2023年1月24日
自然・環境
海洋ごみ問題に向き合う、ゴミ拾いボランティア活動。その募集情報の探し方や始め方

ゴミ拾いボランティアとは?

ゴミ拾いボランティア活動の意義

街中でゴミ拾いボランティア活動を行う若い女性の写真

ゴミ拾いボランティアとは、海や河川、公園などに落ちているゴミや草木を拾う無償の清掃活動のことです。ゴミを拾うことでそのエリアが綺麗になることはもちろん、環境の向上や地域の治安が良くなる効果も期待できると言います。 また、街や河川のゴミを拾うことで、海への流入を防ぐこともでき、昨今問題視されている海洋ゴミの問題への対策にもつながります。 そういった環境意識の高まりや、個人や団体で気軽に行えることから、ゴミ拾いボランティアへの注目が高まっているそうです

ゴミ拾いボランティア活動の4つのメリット

海岸でのゴミ拾いボランティアの受付を行う様子の写真

ゴミ拾いボランティアを行うメリットとしては、もちろん海や河川、公園など地域環境を綺麗にすることができる、ということが第一ですが、その他にも多くのメリットがあります。

ゴミ拾いボランティアのメリット① 社会貢献ができる

社会人や学生で、普段働いていたり学校に通っていると、なかなか地域とのつながりや社会貢献を意識する機会は少ないと思います。 ゴミ拾いボランティアでは、社会貢献への実感を得られることがメリットにあげられます。ボランティア活動では、人からの感謝や充実感を感じる方も多く、それらに達成感を持つことが出来ます。

ゴミ拾いボランティアのメリット② 街の治安向上につながる

「割れ窓理論」というものを聞いたことはありますか?1枚の割れた窓ガラスをそのままにしておくと、その建物は十分に管理されていないと思われ、ごみが捨てられ、やがて地域の環境が悪化し、凶悪な犯罪が多発するようになるという環境犯罪学上の理論です。小さなことに思えますが、ポイ捨てが多い街は、なんとなく不安な気持ちになりますよね。実際ゴミが多い街は「少しくらいルールを破ってもいいか」といった気持ちになり、犯罪が起こりやすくなるそうです。反対にゴミのない綺麗な街は、一人ひとりに「街を清潔に保とう」という意識が芽生え、ルール・マナー向上に繋がります。 そういった理由からゴミ拾いボランティア活動は、街の治安向上に繋がるのです。

ゴミ拾いボランティアのメリット③ 幅広い世代の人と交流できる

ボランティア活動では、様々な年代の方と一緒に作業を行うことがあります。そのため、人脈が広がったり、新たな視点や気づきを得ることができるでしょう。 会社や学校以外の場所で、新たなコミュニティを作る機会ができることも、ゴミ拾いボランティアのメリットのひとつです。

ゴミ拾いボランティアのメリット④ 海洋ごみを減らせる

最近耳にすることが多くなった「海洋ごみ」。海洋環境への影響が世界中で問題視されています。街中や河川のゴミ拾いには、海洋ごみを防ぐ効果もあるんです。一見、海と街は関係ないように思われますが、海洋ごみの約8割は街ごみ由来と言われています。海洋ごみ問題に取り組めることは、ゴミ拾いボランティア活動の大きなメリットであると言えます。

ゴミ拾いボランティア種類

ゴミ拾いボランティアは活動の場所が様々です。最近では、ゲーム感覚のゴミ拾いイベントなども開催されています。

ゴミ拾いボランティア活動の一例

・海岸のゴミ拾いボランティア ・河川のゴミ拾いボランティア ・公園や街中のゴミ拾いボランティア ・スポーツ大会やフェスのゴミ拾いボランティア ・イベント型のゴミ拾いボランティア

その他、様々なゴミ拾いボランティア活動が各地で開催されているので、興味のある方は一度調べてみてはいかがでしょうか。

海洋ごみ問題とゴミ拾いボランティア活動

海でボランティアたちが黄色いゴミ袋にゴミを集めている様子の写真

海洋ごみ問題とは

海岸を歩いていると、ペットボトルや漁業用ネットなど様々なゴミを目にします。そのような海岸に打ち上げられたゴミや、海の中や海底に存在するゴミを「海洋ごみ」と言います。 海洋ごみ問題には、私たちの生活ごみが大きく関係しています。なんと、海に流れ込むゴミの約8割は「街から出たごみ」と言われています。「海には行かないし自分には関係ない」と思うのではなく、自分事に捉える必要があるのです。

海洋プラスチックとは

海岸に落ちている海洋ごみやプラスチックごみの写真

海洋ごみ問題でも、とりわけ深刻なのは、海を漂う大量のプラスチックごみ(=海洋プラスチック)です。 ペットボトルや食品容器から、不織布のマスクまで、加工しやすく安価なことから、プラスチックは世界中で利用されています。そんなプラスチック製品は自然界での分解が困難。半永久的に環境中に残ってしまうことから、海洋環境や生物・生態系への影響が大きいと懸念されているのです。 現在、海へ流入するプラスチックごみの量は世界で年間800万トンと推定され、今のペースで増加すると、なんと2050年には海の中にあるプラスチックごみの量が魚の量を超えると試算されているそう。 最近では「マイクロプラスチック」と呼ばれる、直径5mm以下のごく小さなプラスチックが、海の生き物だけでなく人体にも影響があるのではないかと心配する声も上がっています。

暮らしのなかで海洋プラスチックごみを減らすために取り組みたいこと

日本でも2020年にレジ袋の有料化が始まり、プラスチックストローを紙や金属製に替えるなど、脱プラスチックに向けての動きがあらゆるところでみられています。 一方、プラスチックは私たちの暮らしを便利にしてくれる側面もあるので、しっかりと良い面にも目を向け、プラスチック製品と賢く向き合うことが大切です。 必要なプラスチックと、減らせるプラスチックを見定めて、できることから行動してみましょう。

海洋プラスチックごみを減らすアクション① 使い捨てではなく「My」を持つ

レジ袋の有料化により「Myバッグ」を持ち歩く方は増えたかと思いますが、その他に繰り返し使える「Myアイテム」を活用してみるのも、ひとつの手です。MyボトルやMyカトラリーなど、お気に入りを探してみてはいかがでしょうか。

海洋プラスチックごみを減らすアクション② 不要なものは買わない・断る

ゴミになるものは買わない・もらわないを意識しましょう。コンビニでついもらってしまうスプーンやフォークなど、意外と家に溜まりがち。断る勇気を持ちましょう。 また、すぐに買い替えるのではなく、修理できるものは修理する、買う前に本当に必要かを吟味することも大切です。

海洋プラスチックごみを減らすアクション③ 分解される素材を選ぶ

購入する際、分解できる素材を選ぶことも立派なエコアクションです。 たとえば、ウレタン製のキッチンスポンジは、使い続けるうちに細かく砕けてマイクロプラスチックとなり、生活排水に紛れ込んでしまいます。100%植物性のセルローススポンジなど、繊維が排水に流れたとしても、微生物によって分解されるものを選んでみましょう。 また、生分解性プラスチックのように、時間経過によって微生物による分解が可能なプラスチックの研究開発も進んでいます。 普段の買い物から、素材についても意識してみましょう。

海のゴミ拾いボランティア活動のやり方

海のゴミ拾いボランティア活動は全国各地で開催されています。海岸のゴミ拾いは「ビーチクリーン」と呼ばれており、これに特化した団体も多くあります。そういった団体のサイトから募集を探し、参加することが一般的です。その他、個人でもゴミ拾いボランティアは活動することもできますが、準備やゴミの処理を考えると、初心者の方はボランティア団体の募集から参加することがおすすめです。

海のゴミ拾いボランティア活動を行う際の服装や注意点

ひとつ目の海岸でのゴミ拾いの注意ポイントは、服装と日焼け止めです。 汚れても問題なく、動きやすい服装で行いましょう。また、海岸は日差しも強いため注意が必要です。帽子やサンダル、長袖を準備する、日焼け止めを利用するなどの対応をしてください。 また、季節によっては熱中症など体調面でも気を付けましょう。集中するあまり、つい休憩を忘れがちになりますが、定期的に水分補給と休憩を行って下さい。 海洋ごみの中にある危険物にも注意しましょう。海洋ごみの中には、注射針や薬品・液体が入った容器、火薬が使われているものなど触ると危険なものも交ざっています。 危険物かも?と思ったら、自分では決して触らずに、市区町村に通報しましょう

ゴミ拾いボランティアの募集を探す

ゴミ拾いボランティアを紹介する団体

沢山のボランティアたちが海岸のゴミ拾いを行う様子の写真

ここでは実際にゴミ拾いボランティア活動に参加してみたいと思った方へ、海岸ゴミ拾いボランティア活動の募集を行う団体の探し方をご紹介します。

・ぼ活!サイトの募集ページ
ボランティア活動のマッチングやボランティアのセミナー・イベント、そして仲間とのつながりを通じてより充実したボランティアライフをサポートする団体です。ビーチクリーンに限らず、様々なボランティア募集を行っています。
https://vokatsu.jp/search?type=ボランティア

・海さくらゴミ拾い
「目指せ!日本一楽しいゴミ拾い!」をモットーに、江の島で体験・体感を大切にした様々な活動を行う団体です。
https://umisakura.com/enoshima/

・BLUE SHIP
きれいな海をゴールとする、ゴミ拾い・環境イベントポータルサイトです。全国各地のゴミ拾い・環境イベントを探すことができます。
https://blueshipjapan.com/

個人でゴミ拾いボランティア活動を行う場合

個人でもゴミ拾いボランティア活動を行うことができます。自分のペースで作業を行いたい方、綺麗にしたい場所が決まっている方におすすめです。 ゴミ拾いを行う際は、安全に気を付けましょう。海岸や河川など足場の悪い場所や、車の多い街中などは、周囲の状況をよく見て行うようにしてください。 また、ゴミ回収方法も気を付けたいところ。分別や指定ゴミ袋有無は、地域により異なるので予め確認が必要です。自治体によっては清掃用具の貸し出しなど支援がある場合もあるので、自治体の情報もチェックするようにしてください。

ゴミ拾いボランティアの感想や活動レポート

海岸で親子がゴミ拾いボランティアを行う様子の写真

ぼ活!では、過去に様々なゴミ拾いボランティアを募集・実施してきました。活動の内容や実際に参加されたボランティアの声や感想を体験レポート記事としてまとめています。

ぼ活!ジャーナル『ゴミ拾いが楽しすぎる?「ダンスdeゴミ拾い in 江の島海水浴場片瀬東浜」に737名が大結集!』
ぼ活!ジャーナル『東京2020オリンピック・パラリンピックから1年、海への感謝を込めてボランティアユニフォームでゴミ拾い』
ぼ活!ジャーナル『「軽石除去ボランティア in 与論島 ~キレイなビーチを取り戻そう!~」 で見えた軽石の現状とこれから』

参考資料
・環境省,プラスチックスマート Plastics Smart,【ハンドブック】ごみ拾いから始める海洋プラスチックごみ問題の解決:一般の方、地方自治体向け
・環境省,平成29年度漂着ごみ対策総合検討業務 海洋ごみ学習用教材高校生用
・防犯対策・セキュリティALSOK.“割れ窓理論とは?まちを清掃すると犯罪率が下がる理由”
https://www.alsok.co.jp/person/recommend/053/(参照2022‐12‐9)
・(公財)環日本海環境協力センター.海洋ごみポータルサイト.“海洋ごみを学ぼう!” https://www.npec.or.jp/umigomiportal/study/what/index.html(参照2022‐12‐9)
・日本バイオプラスチック協会.“生分解性プラスチック入門”
http://www.jbpaweb.net/gp/(参照2022‐12‐9)