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【イベントレポート】100倍楽しむ! 北京冬季パラリンピック~メダリストとチェアスキー開発者が語る魅力と見どころ~

2022年3月9日
スポーツ ダイバーシティ
【イベントレポート】100倍楽しむ! 北京冬季パラリンピック~メダリストとチェアスキー開発者が語る魅力と見どころ~

パラスポーツの祭典、北京2022パラリンピック冬季競技大会が3月4日(金)から13日(日)までの10日間、中国の北京で開かれる中、大会をより楽しんでもらうため、開幕直前の2月28日(月)にオンライントークイベント「100倍楽しむ! 北京冬季パラリンピック」を開催しました。

「メダリストとチェアスキー開発者が語る魅力と見どころ」をテーマに、ゲストは、バンクーバー2010冬季パラリンピックアイスホッケー銀メダリストの馬島誠さんと、チェアスキーなどの競技用具の開発を手がける株式会社RDS代表の杉原行里さん。ファシリテーターは、パラスポーツに造詣の深いフリーライターの星野恭子さんです。

冬季パラリンピックの競技や選手に深く関わってきた3人ならではの情報や見どころ満載のトークショーとなりました。本イベントの様子をご紹介します。

(写真左)馬島誠さん、(中央)杉原行里さん、(右)星野恭子さん

日本チームは4競技に29選手が参加

まずは大会の概要から。実施競技はアルペンスキー、クロスカントリースキー、バイアスロン、スノーボード、パラアイスホッケー、車いすカーリングの6競技78種目で、約600人の選手が参加します。日本からはパラアイスホッケーと車いすカーリングをのぞく4競技に29選手が参加予定です。

スキー競技にはアルペンスキーとクロスカントリースキーがあります。いずれも障害の種類によってスタンディング(立位)、シッティング(座位)、ビジュアリーインペアード(視覚障害)のカテゴリーがあり、それぞれにクラス分けが行われています。杉原さんはこのうち、シッティング(座位)の競技用具、チェアスキーの開発に携わってきました。

杉原さんは「この種目には金メダルホルダーが複数出場するところも注目してください。2018年から僕も関わっている村岡桃佳選手は、2大会連続の金メダルがかかっています。また約10年一緒にやっている森井大輝選手は6大会連続の出場となり、これまでに4大会連続で銀メダルをとっています。今回は悲願の金メダルを目指していますので、非常に楽しみです」と話します。

パラアイスホッケーは下肢に障害のある選手が「スレッジ」という専用のそりに乗って、パックをゴールまで運びます。両手には短いスティックを持ち、一方の先端についたアイスピックで氷をかきながら前に進み、反対側のブレード部分でパスやシュートをします。馬島さんは「北京への最終予選だった昨年11月の最終予選で負けてしまい、今回は出ることができませんでした。でもぜひアイスホッケーの迫力を知っていただきたいです」と話します。

見どころ1 ぶっつけ本番の緊張感

星野さんは今大会の特徴のひとつとして、新型コロナウイルス感染症の影響でテスト大会が中止になったケースなど、選手が万全な準備ができなかったことについても触れました。杉原さんは「選手たちは雪の状態を把握できていないので、かなり緊張しています。現地でいち早く順応し、コンディションを整えた選手が優勝するでしょう」と予想しました。

室内で行われる氷上の競技について馬島さんは「オリンピックでも話題になっていましたが、氷が硬い、軟らかいというのがあり、スピードの出方が変わってきます」と解説しました。「アイスホッケーは氷の状態によってパスの力加減が変わってきますし、パックをリンクの壁に当てたときのはね返り具合もリンクごとに調整が必要です」とのこと。アイスホッケーの経験がある杉原さんは「リンクを知っている地元チームは強いですね」とコメントしました。

みどころ2 チーム戦としての戦いぶり

今大会において日本人選手が出場する種目はすべて個人競技です。しかし「チーム日本」の結束力も見てほしいと杉原さんは話します。

「男子チェアスキーには4選手が出場しますが、最初に走った選手は滑走前の日本の選手に斜面のコンディションや気をつけてほしいポイントなどを伝えます。個人戦でありながら、大事な情報を教えてあげることができる。こういう一流アスリートの戦い方には感銘を受けます。」

また杉原さんは、試合に帯同し、雪上のコンディションに合わせてスキーの調整をする「ワックスマン」の技量が勝負を左右することもあると語りました。星野さんも「選手へのインタビューのときに、“ワックスマンがいい板を作ってくれたんだよ”という話を聞くことがあります」とのこと。ほかにも星野さんは「日本チームは気象予報士と提携して天気の変化を早くつかむことなどもしています。さまざまなスタッフが選手の活躍を支えるチーム戦である点も見てほしいですね」と話しました。

見どころ3 かっこいいと速い!?

チェアスキーについて、杉原さんに詳しく解説してもらいました。「“雪上のF1”と言われるチェアスキーは最高時速120~130㎞/hが出ます。選手は座位の重心のバランスを非常に繊細に調整します。選手以外のほとんどの人はシートに座って起き上がることもできないので、自分で体験することができない競技の用具開発はすごく難しい」と、開発者視点で語りました。杉原さんたちは、選手の感覚を数値化し、何万通りのデータをとって、それぞれの選手に合ったシーティングポジションを探ってきました。

競技用具の開発において、日本は最先端だと杉原さんは言います。とはいえ各国が開発に力を入れているので、「パラリンピックを見るときに、競技、選手はもちろんですが、用具のかっこよさも見ていただきたいです。カーレースでは“かっこいい車は速い”と言われますが、チェアスキーもいっしょで、かっこいいチェアスキーはきっと速いはずです」とも。

さらに杉原さんが森井大輝選手から預かった「見どころ」として「アルペンスキーでターンをするとき、“雪煙が少ない選手は速い”とのことです」と、とっておきの情報も披露しました。

ほかにもあります、こんな見どころ

馬島さんは注目競技として「バイアスロン」をあげました。「スキーの走りと正確に的を撃つ射撃の技術の両方が求められる競技なのですが、視覚障害の部門があります。どうやって撃つかというと、音で的の位置がわかるようになっているのだそうです。長距離を走った後で手が震えている中で、寒さとも戦いながらライフルを撃つという特殊な競技。ぜひ見てほしいです」と力を込めました。

星野さんはスキー競技において、視覚障害の選手がガイドスキーヤーの声に導かれてペアで走るコンビネーションも見てほしいと話しました。また「スノーボード」はバンクドスラロームとスノーボードクロスの2種目が実施されますが、いずれもタイムで順位を競います。「日本からは6人が出場し、そのうち5人は初出場です。障害はバラバラですが、ファミリーのように仲良しで、アドバイスをしあって戦っています」と星野さんが実際に取材したときの様子を話してくれました。

パラスポーツを身近に感じるチャンス

チェアスキーの実物がパラリンピック大会期間中、トヨタ会館(愛知県豊田市)で展示されています(3月19日まで)。

パラアイスホッケーは3月26日(土)に日本ガイシアリーナ(愛知県名古屋市)にて、国内クラブ選手権大会が開かれます。「体験会もありますので、スレッジに乗って氷の上を滑走する楽しみを見つけてもらえたらうれしいです」と馬島さん。

最後に星野さんが北京冬季パラリンピックの情報を知ることができるサイト(日本財団パラスポーツサポートセンター日本パラリンピック委員会)や観戦方法を案内しました。みなさん、日本から北京へと熱いエールを送りましょう!

また随所でボランティアの活躍も目立っていますね。寒い中での活動だと思いますが、日本からも応援しています!

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