大型連休中の5月3日から6日にかけて、「ジャパンビーチゲームズ®フェスティバルお台場2022」が、お台場海浜公園おだいばビーチ(東京・港区)で開かれ、4日と5日の2日間には「ぼ活!」サイトで募集したボランティア、のべ87名が活躍しました。今回初めて募集した、親子11組25名(親11名、子ども14名)も含まれています。
このフェスティバルでは「ビーチ文化」をテーマに、ビーチバレーボールやアクアスロン、ビーサン跳ばしなどのビーチ・マリンスポーツを中心に18競技の公式戦や体験会が行われ、ボランティアのみなさんはそれぞれ、競技ブースの運営サポートや清掃活動などで力を発揮しました。今回は、5日の活動の様子をリポートします。
「こんな機会を待っていました!」と話してくれたのは、小学5年生の湊斗くんと親子で参加した藤山瑞恵さんです。4年ほど前に家族でマラソン大会のボランティアに参加して以来、親子で参加できる活動を探していたそうです。
「どんなイベントにも支える人たちがいることに気づき、支える楽しさも息子に体験してほしい。そして、参加者の立場になったときには支えてくれる人たちへの感謝の気持ちをもてるような体験になれば」と参加理由を話してくれた瑞恵さん。「ぼ活!」で募集して昨年11月に福島で行った「復興x農業ボランティア」にも一人で参加して、そんな思いをますます強くしたと言います。
この日は、リボンなどを使いながら体を動かす「ビーチリトミック」の運営サポーターとして用具の準備をしたり、会場内のゴミ収集や清掃イベントなどで幅広く活動。湊斗くんも「ゴミ拾いは初めてだったけど、林のなかでお弁当のゴミをいっぱい拾いました」と、やりがいを感じてくれたようです。瑞恵さんも「子どもたちも楽しめるイベントのなかにボランティアの機会を作っていただき感謝です。息子もがんばっていて、いい時間になりました」と笑顔で話してくれました。
そんな湊斗くんと初対面ながら同い年だったこともあり、「お友だちになれた」と仲良く活動に励んでいたのは沢辺維吹くんです。「ママに、社会貢献ができるからと誘われました。ビーチは、見た目はきれいなのに、ゴミがめちゃくちゃ多かった。ポイ捨てはダメって思いました!」
一緒に参加した母の裕子さんは東京2020パラリンピックで初めてスポーツボランティアを体験。「最初は『一生に一度しかない』とミーハーな動機でしたが、やってみたら、すごく楽しくて、息子にもぜひ体験させたいと思っていました。今日はその第一歩。暑い中、よく頑張っていたと思います。これからもマラソン大会などに一緒に参加したいです」と手ごたえを語ってくれました。
他にも多くの親子ボランティアが活動していました。笑い合い、助け合いながら、親子のきずなも深まったのではないでしょうか。
東京2020大会のレガシー! ボランティアにはまった人たち
今回のボランティアの大半はボランティア経験者で、長く続くコロナ禍で活動機会が少ないなか、久しぶりのボランティア活動にやりがいと楽しさを実感していました。なかでも多かったのは、東京2020大会をきっかけに、「ボランティア活動に目覚めた」という人たちです。
フランス出身で日本在住歴20年以上になるというアンドレ・フレドリックさんもその一人。東京2020大会の際は、オリンピックでは武道館で、パラリンピックでは複数の会場で通訳などを担当し、今回は「ビーチスポーツも面白そう」と応募したそうです。担当したのは、日本の羽子板のようにラリーをつづける、ブラジル発祥のニュースポーツ「フレスコボール」の体験会です。参加者の検温や用具の貸し出しなどに加え、積極的に通路に出て体験参加を促す声かけも行っていました。
「赴任歴のあるブラジルのスポーツをPRするお手伝いができてうれしい。今後はビーチクリーン活動などにも参加したいです」と額に光る汗をぬぐいながら話していました。
フレッドリックさんとペアで活動していたのは安部慎祐さんです。24歳の大学院生で、東京2020大会ではオリンピック選手村で活動し、「テレビで見ていた選手をサポートしたり、日常生活ではできない体験ができました」とボランティアの楽しみを体感。今年の東京マラソンにも参加して、この日が3回目の活動でした。
「フレスコボールは初めて見ましたが、実況放送もあって、参加者も観客も楽しそうなスポーツ。僕も楽しく活動しています。フレッドリックさんも頼りがいがあって助かっています。多様な人と協力して活動できることもボランティアの魅力ですね」と笑顔でした。
阿久津夏代さんも、「日本にオリンピックが来るなんて、めったにないこと」とボランティアに応募し、ビーチバレーボール会場で活動。「トップ選手の競技を見たり、素敵な仲間もたくさんできました」とボランティアの醍醐味を体験したことから、同じビーチスポーツのイベントということもあり、この日も参加したそうです。綱渡りのように、二点間に張った専用のライン(テープ状のロープ)上で、アクロバティックな動きを行う「スラックライン」ブースを担当し、「間近で、こんなすごいパフォーマンスが見られて、私自身も楽しんでいます。これからも機会があれば、さまざまな活動に参加したいです」と声を弾ませていました。
ボランティアのベテランたちも、活躍!
山賀芳則さんも、「スポーツ活動のボランティアは東京2020大会が初めて」だったそうですが、長年、町内会の防火防災活動に携わってきたというボランティアのベテランでした。
今回は、「ビーチのスポーツって、いろいろあるんだな。見てみたいな」という興味もあって参加。木製のピンを使うボーリングのような競技、「モルック」の体験会のサポート担当でしたが、他にも、地元の活動で培った機転を利かした行動力で重要な役割を果たしていました。
活動中にふと、ブース前の通路にポツンと立っている3歳くらいの男児に気づいた山賀さん。「お父さんかお母さんは?」と声をかけると、「いない~」と言って泣き出してしまったので、優しく手をつなぎ、名前を聞きだし、「〇〇くんのお父さ~ん」と発しながら会場内を探して歩きました。5分ほど歩くと、お父さんが駆け寄ってきてくれて、無事に引き渡すことができたそうです。「ほっとしました」と笑顔で話してくれました。
森脇亜由美さんは職場のボランティアサークルに入って以来、30年以上も活動しています。福祉施設で障害のある子どもたちと遊んだり、スポーツ活動のサポートなどを行ったりしているそうで、「子どもの頃、兄や姉が遊んでくれて嬉しかったので、今は『お返しの気持ち』で参加しています」。この日は車いすバスケットボールとボッチャの体験ブースを担当。参加希望者が途切れない人気ブースで、ボール拾いや審判など忙しく活動していました。
「スポーツが大好き」で、東京2020大会でも活動したという森脇さん。実は聴覚に障害があり、東京2020大会の時は、最初は不安もあったそうですが、視覚に障害のある人も参加しており、また自身も手話のできる人のサポートも受けながら、充実した活動ができたそうです。「障害者として特別視されるのでなく、『ボランティアの森脇』として、皆さんと一緒に活動できてうれしかったです。東京大会以降、障害のある人に対する周囲の見方も変わったようでうれしく感じています。こうした状況がもっと広がっていってほしいです」と語ってくれました。
そんな森脇さんをこの日、手話でサポートしていたのは福田ひろ枝さんです。数年前に東京マラソンで初めてスポーツ活動のボランティアに挑戦し、東京2020大会を経て、今回が3回目の活動でした。手話は7年前から学び始めたそうですが、この日初対面だった森脇さんもサポートしながら活動。「どれだけ役に立てているか分かりませんが、お互いに楽しく活動できればいいなと思います」と手話を交えて話す福田さんに、森脇さんは笑顔でうなずきながら、「ありがとう」を表す手話を何度も繰り返していました。
初夏のさわやかな好天に恵まれたこの日、会場には多くの来場者が訪れ、どのブースもにぎわっていました。こちらで紹介したエピソードはほんの一部。今回参加したすべてのボランティアのみなさんにもきっと、それぞれの参加理由があり、それぞれの楽しさや達成感があったことでしょう。
ジャパンビーチゲームズ®フェスティバルお台場2022 ホームページ
https://jbgf.jp/odaiba2022/
日本ビーチ文化振興協会(ジャパンビーチゲームズ®フェスティバルフェスティバルお台場実行委員会 事務局)ホームページ
https://www.jbeach.jp/