動物愛護ボランティアとは

私たちの暮らしに身近な存在である犬や猫などのペット。
しかし、飼い主の事情や環境の変化によって、行き場を失ってしまう動物たちも少なくありません。引き取り先がない場合、その犬や猫は殺処分の道をたどってしまいます。
動物愛護ボランティアは、こうした不幸な命を救い、すべての動物が最期まで幸せに生きられるように支える活動です。
動物愛護ボランティアが必要な理由
冒頭でも説明した通り、動物愛護ボランティアの最大の目的は、犬や猫の殺処分を減らすことです。
一度飼われた動物が、さまざまな事情で行き場を失うケースは少なくありません。
しかし、新しい飼い主を見つけたり、一時的に保護したりすることで、救われる命があります。
そういった活動を支えるために、動物愛護ボランティアの存在は重要です。
犬・猫の殺処分数と引き取り数
では、実際にどれくらいの犬や猫が殺処分されているのでしょうか。
環境省のデータ(2022年4月1日~2023年3月31日)によると、犬は22,392匹が引き取られ、うち19,658匹が元の飼い主へ返還されるか、新しい飼い主に譲渡されました。残念ながら、2,434匹殺処分となりました。
猫はどうでしょうか。
猫は同じ期間に30,401匹が引き取られ、20,471匹が返還、譲渡されました。殺処分は9,472匹は殺処分となりました。
犬と猫を合わせた殺処分率は、22.6%となっています。
しかし、これは大幅に改善されてきた数字です。
1979年には殺処分率が98%にも達していましたが、多くの人の努力によって、現在は確実に減少傾向にあります。
「殺処分ゼロ」を目指し、さらに改善を進めるためにも、ボランティアの力が必要なのです。
犬猫などの動物愛護ボランティアの例

では、犬・猫の命を救うボランティアとはどのようなものがあるのでしょうか。具体例をご紹介します。
動物の保護、譲渡のボランティア
行き場を失った犬や猫を保護し、新しい飼い主を探すことが殺処分の減少に貢献します。
この流れの中で、ボランティアとして活動できる機会がたくさんあります。
①一時的な保護と世話
保護された犬や猫は、一時的に保護施設や個人宅で飼育されることになります。その間、ボランティアは以下のような活動を行います。
・餌やりや水やり
・散歩や運動
・ケージや施設の掃除
・健康チェックや動物病院への送迎
・数時間おきの授乳や排泄の世話が必要になる子猫を対象としたミルクボランティア
「動物を飼いたいけど事情があって飼えない…」という方も、一時的な預かりボランティアとして関わることが可能です。
東京都中央区では、シェルター内の猫を一時的に預かる「預かりボランティア」を募集しており、里親が見つかるまでの間、人慣れさせる役割を担っています。
②新しい飼い主探し(譲渡活動)
譲渡可能な犬や猫は、新しい家庭に迎えられるための準備が必要です。
・里親募集のイベントを企画・運営
・SNSやブログで保護動物の情報を発信
・里親希望者とのマッチングをサポート
例えば、新潟県では県の基準に適合する団体を「譲渡ボランティア」として登録し、動物の譲渡を行っています。東京都でも登録制度を設けており、ボランティアスタッフを募集しています。
被災ペットの救済ボランティア

日常の中で何かしらの理由によって捨てられてしまう犬や猫だけでなく、地震などの災害時には飼い主と離れ離れになってしまった動物や、避難所に連れていけないペットが発生するケースもあります。
災害時に動物と関わるボランティア活動のいくつかをご紹介します。
①逃げ出した動物の保護
発災後の混乱の中、逃げ出してしまうペットがいます。逃げ出してしまったペットを見つけて保護し、飼い主を探す活動です。
ただ、捕まえるのは簡単そうに思うかもしれませんが、被災して興奮状態の動物を保護できるかを判断する能力や、事故やケガなく保護できる技術などが求められます。
②輸送サポート
避難所や現地動物救護施設などでの支援物資の整理や輸送の協力などを行います。また、被災した動物の移動も行います。悪路での運転技術や、動物の取り扱いスキルが求められます。
③一時預かりボランティア
避難所でペットを飼えない飼い主のために、一時的に自宅で動物を預かる活動です。十分な飼育経験や責任感が必要となり、場合によっては治療費などの負担も求められます。
④シェルターでの飼養管理、譲渡対応
被災動物のシェルターで飼養管理したり、経済的な事情で飼えなくなったペットの譲渡対応なども重要なボランティア活動です。
動物愛護ボランティアに参加する3つのメリット

①命を助け、社会に貢献できる
動物愛護のボランティアは、殺される可能性のある命を救う活動です。直接的に命を助けることができるため、大きなやりがいを感じられ、社会貢献にもつながります。
②自己成長につながる
ボランティア全般に言えることではありますが、活動を通じ様々な経験を重ねることは自己成長につながります。動物愛護のボランティアは動物たちの命に関わる責任を伴うものでもあるため、成長を実感できると言えそうです。
③公衆衛生を守る役割も
災害時などには、行き場を失った動物が増え、環境悪化の原因になることも。こうした問題を防ぎ、公衆衛生を守る面でも、動物愛護ボランティアは社会に貢献しています。
動物愛護ボランティアの参加方法
動物愛護に関わるボランティアは多種多様です。
NPO法人や自治体(都道府県・市区町村)などが募集を行っているので、挑戦したいと思った活動がありましたら、インターネットで調べてみましょう。
動物愛護ボランティアの注意点

「かわいい、動物が好き」では続かない
動物が好きという気持ちは大切ですが、ボランティアは楽しいことばかりではありません。保護した犬や猫の中には、人間から虐待を受けるなどして不信感を抱いてる犬や猫もいます。
そうした動物と関わることもあることは覚えておいてください。
ルールを守り、責任を持つ
ボランティアとして活動するので、ルールを守ることや責任を持つことは忘れないようにしましょう。
ボランティア保険に加入を
ボランティア中のケガや損害を与えてしまった場合などの補償に備え、ボランティア保険に加入するようにしましょう。
災害時の動物保護に取り組む団体の話を聞こう

災害にあった時に活躍する、動物に関わるボランティアを紹介しました。
日本財団ボランティアセンターでは、地域防災やペット防災のできる人材育成事業などに取り組む「一般社団法人 ひとtoペット」の西村裕子理事長らをお招きしたオンラインセミナーを実施しました。
セミナーでは、ペットと一緒に被災したことを想定した日ごろの備えや、ペットと一緒に避難してきた被災者にボランティアができることなどを紹介しています。
過去に行われた動物とボランティアに関するセミナーの案内はこちら
一般社団法人ひと to ペット WEBサイト:https://hitotopet.com/
動物と関われる愛護以外のボランティア
動物を保護するボランティア以外にも、動物と関わることができるボランティアはあります。いくつか例をご紹介します。
東京動物園ボランティアーズ(TZV)
都内にある上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園で活動する組織です。
来園者に向けて動物の説明をする「スポットガイド」や施設案内、動物園のイベントのお手伝いなどのボランティアを行っています。
東京シーライフボランティアーズ(T.S.V.)
葛西臨海水族園で活動をしている組織です。
水槽前で生き物の解説や、水族園のイベント、特別展示の補助が主な活動です。
飼育には携わりませんが、来場者と一緒にシラスの中に混じっている海の生き物を探したり、海の生き物の魅力を伝える紙芝居なども手掛けています。いわば、海の生き物と来園者の架け橋のような役割を担っています。
ペットと一緒に参加するボランティア「わんわんパトロール」
ペットの散歩と防犯パトロールを組み合わせたのが東京都のボランティア団体「東京犬猫日和」さんです。
飼い主と一緒に参加したペットの犬たちは「わんわんパトロール」と書かれたワッペンやお散歩バッグを犬の首やリードに着用。公園内などを巡る活動を行っています。
まとめ
動物と人間は昔から共生をしてきました。ただ、飼えないなどの人間の理由により、殺処分になってしまう命があります。そうした状況を少しでも改善させたいと思う方はぜひ動物愛護のボランティアに参加してみてください。また、愛護ボランティア以外にも動物と関わることでできるボランティアはあります。興味がある方は参加してみましょう。
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参考資料
・環境省”統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」”https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html(参照2025-01-28)
・環境省”2.ペットに関する災害ボランティア活動とは”https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0204a/b-4b.pdf(参照2025-01-28)
・環境省”4.自分にできることは何だろう -ボランティアの種類と役割-”https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0204a/b-4d.pdf (参照2025‐01‐28)
・公益財団法人 東京動物園協会”都立動物園・水族園のボランティア”
https://www.tokyo-zoo.net/conservation/volunteer.html(参照2025-01-28)
・東京ボランティアレガシーネットワーク”ランニングや犬の散歩 「ながら見守り」で地域も安心”https://www.tokyo-vln.jp/learn/hint/56808(東京VLN)(参照2025–01-25)