そもそもSDGsとは

SDGsの概要と歴史
最近よく耳にする「SDGs」という言葉の意味をご存じでしょうか?
SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、誰も取り残すことない「持続可能な開発目標」を意味します。2016年から2030年までの15年間のうちに、持続可能でよりよい社会を目指す世界共通の目標として、国連に加盟している193カ国の加盟国が全会一致で採択しました。
全部で17の大きな目標があり、さらに具体的に掘り下げた169のターゲットに分かれています。
17の目標
それでは全17の目標とそれぞれに含まれるターゲットの一例をご紹介します。
SDGs目標1:貧困をなくそう
例えば、世界では6人に1人の子どもが、1日あたり2.15ドルで暮らす「極度に貧しい」状況で生きています。ターゲットは、2030年までに世界中で「極度に貧しい」暮らしをしているひとをなくすことや、それぞれの国で、人々の生活を守るための仕組みづくりや対策の実施などが掲げられています。
SDGs目標2:飢餓をゼロに
2030年までに飢餓をなくし、誰もが一年中安全で栄養のある食料を手に入れられるようにすることや、生態系の保全に留意しつつ生産量を増やす仕組みをつくっていくことなどを掲げています。
SDGs目標3:すべての人に健康と福祉を
出産時に亡くなる母親や生後間もない間に命を落とす子どもを減らすことを目指します。他にもエイズや結核などの伝染病をなくすといったターゲットで構成されています。
SDGs目標4:質の高い教育をみんなに
男女問わず、すべての子どもが公平で質の高い教育を無料で受け、小中学校を卒業できるようにすることやすべての若者や大半の大人が男女ともに読み書きや計算ができるようにしていくことなどのターゲットがあります。
SDGs目標5:ジェンダー平等を実現しよう
男女平等を実現し、すべての女性、女児のあらゆる差別をなくしていくことや、政治、経済、公共分野で女性にも平等にリーダーになれる機会を確保することを掲げています。また、家庭内の子育てや介護、家事などの賃金の発生しない家庭内労働が重要であることを再評価することも含まれています。
SDGs目標6:安全な水とトイレを世界中に
誰もが安全な水を安価で利用できるようにすることやトイレを使用できるようにすることなどを掲げています。国境を越えた水源の管理や水にかかわる生態系の保全、回復も含まれます。
SDGs目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
すべての人々が現代的なエネルギーを利用できるようにすることを目指します。2030年までに再生可能エネルギーを使う割合を大幅に増やすことなども掲げています。
SDGs目標8:働きがいも経済成長も
2030年までに生産・消費において、世界がより効率よく資源を使えるようにしていくこと、性別や年齢などに関わらず、働きがいのある人間らしい仕事をできることなどを掲げています。
SDGs目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
すべての人のため、安くて公平に使えることを重視した持続可能かつ強靭なインフラを開発していくことなどのターゲットがあります。
SDGs目標10:人や国の不平等をなくそう
年齢、性別などに関わらず、全ての人が能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにしていくことや、所得の低い40%の人々の所得成長率が国全体の平均を上回るようにしていくことなどのターゲットがあります。
SDGs目標11:住み続けられるまちづくりを
全ての人が住むのに十分で安全な家に安い値段で住むことができるようにすることを目指します。都市の貧しい人々が住む地域の状況を改善することや、女性、子ども、障害のある方、高齢の方など弱い立場におかれている人々のニーズに配慮した輸送システムを提供するといったターゲットも含まれます。
SDGs目標12:つくる責任 つかう責任
天然資源の持続可能な管理、効率的な利用などをターゲットにしています。他にも化学物質や廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するために、大気、水、土壌への化学物質などの放出を大幅に削減することが含まれています。
SDGs目標13:気候変動に具体的な対策を
全ての国々において、気候に関する災害や自然災害が起きたときに対応し、立ち直れるようにするなどのターゲットから成ります。
SDGs目標14:海の豊かさを守ろう
2025年までに陸上活動によるものなど、あらゆる種類の海洋汚染を防ぎ、大幅に削減していくことなどのターゲットが含まれています。
SDGs目標15:陸の豊かさも守ろう
森林、湿地、山地、乾燥地など陸上の生態系と、内陸の淡水地域の生態系、それらがもたらす自然の恵みを守り回復させ、持続可能に利用できるようにしていくことを目指します。他にも、衰えてしまった森林を回復させ、世界全体で植林を大きく増やすことなどのターゲットで構成されています。
SDGs目標16:平和と公正をすべての人に
あらゆる場所、あらゆる形の暴力、それによる死を大きく減らすことを目指します。また、各国国内でも、国家間でも法律に従ってものごとが取り扱われるようにし、すべての人が平等に、争いを解決するための司法を利用できるようにするなどのターゲットに分かれます。
SDGs目標17:パートナーシップで目標を達成しよう
開発途上国の税金、その他収入を集める能力を向上するため、国際的な支援などによって国内の資金調達を強化していくなどのターゲットがあります。
海外におけるSDGsの取り組みは
SDGsの目標の達成度は各国において違いがあります。国際的研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」の2023年版のレポートによると、ヨーロッパの国々は上位に位置しています。ここでは各国で行われている活動の一部をご紹介します。
フランスにおけるゴミ削減
JETRO(日本貿易振興機構)によると、フランスでは、海洋プラスチックの削減の取り組みが行われています。
海洋プラスチックのほとんどは陸上から流れ出るもののため、2016年からレジ袋、2020年からはコップ、2021年からはストローなどのように使い捨てプラスチックを段階的に禁止し始めているといいます。
廃棄処分される食品を販売するドイツのスーパー
農家や、生産者、卸売業者から直接食材を購入し、賞味期限が短かすぎたり、すでに過ぎているなどの理由で廃棄認定されてしまった食品を販売するスーパーがドイツにあります。値段は最大80%引きにもなるといい、利用者が増えることがフードロスの削減につながります。
SDGsとボランティア

ボランティアとSDGsの関連性
SDGs17の目標を達成するためには、国家、企業、個人など多くのアクターによるアクションが必要になってきます。
ボランティアは様々な活動に分かれますが、共通する点として他人や社会に貢献するということが挙げられます。SDGsの達成に向け、自身ができる活動がないか考えてみてはいかがでしょうか。
SDGsにつながるボランティア活動例
SDGsの達成につながるボランティアの活動例を7つ紹介します。
①子ども食堂
子ども食堂は、経済的に困難な家庭や孤食の子が無料や低額で利用できる食堂です。ボランティアや公共団体などが運営しています。
「貧困をなくそう(目標1)」、「飢餓をゼロに(目標2)」「すべての人に健康と福祉を(目標3)」などの目標の達成に向けた活動になります。
②フードバンク
食べられるのに包装の破損や過剰在庫などを理由に流通に出せない食品を企業などが寄贈し、必要としている施設や団体、困窮世帯などに無償提供する仕組みです。
こちらも「貧困をなくそう(目標1)」、「飢餓をゼロに(目標2)」「すべての人に健康と福祉を(目標3)」「つくる責任つかう責任(目標12)」などの目標に向けた活動にあたります。
③物資の寄付
災害時など国内外問わず、必要となっているところに物資を届けることもボランティアになります。「貧困をなくす(目標1)」「つくる責任つかう責任(目標12)」などの目標に該当する活動です。
また、物資を提供するだけでなく、送る物資を仕分け、再梱包、発送する段階のボランティアもあります。

過去に募集のあった寄付衣類の発送準備ボランティアの詳細はこちら
④子どもへの学習支援
親の経済格差を教育格差にしないようにするための取り組みで、小中学生や高校生の宿題の手伝いなどを行っています。友人関係や進路の相談も支援の対象になっているケースもあります。
これらの活動は、「質の高い教育をみんなに(目標4)」に該当しています。
⑤清掃活動
「ボランティア」としてイメージのわきやすい活動の一つと言える清掃活動。場所は公園や海岸、河川敷など様々です。
「住み続けられるまちづくりを(目標11)」「海の豊かさを守ろう(目標14)」「陸の豊かさも守ろう(目標15)」などに該当します。
清掃活動の中に、従来のゴミ拾いに「スポーツ」のエッセンスを加えた「スポGOMI」という活動があります。チーム制で競技時間内にゴミの種類と重さに応じて得られるポイントを競う競技です。
競技であるので当然審判なども必要になります。こちらもボランティアを募集しています。
ゴミ拾いボランティア活動について詳しくはこちら
海のゴミ拾いボランティア活動。初心者でも参加しやすい活動や参加方法
過去に募集のあったスポGOMIの競技運営ボランティアの詳細はこちら
https://vokatsu.jp/event/1724812148537×306463463278116860
https://vokatsu.jp/event/1688697964509×326595508369096700
https://vokatsu.jp/event/1692928967190×640178846960451600
⑥災害ボランティア

近年激甚化する災害の中で、現地で活動するボランティアを報道等で知る機会も多いかもしれません。災害ボランティアは被災地に赴き、がれきの撤去や分別、泥出しや室内清掃のほか、被災者の声を聞く傾聴活動なども含まれます。
「住み続けられるまちづくりを(目標11)」の実現に向けたボランティアに当たります。
災害ボランティア活動について詳しくはこちら
初めての方向け。災害ボランティア活動への参加方法や心得【基礎知識】
SDGsの目標の一つ「環境」保護に向けたボランティアの具体例
江の島海岸ゴミ拾い活動

毎年7月の海の日に合わせて、全員が青いアイテムに身を包み青いサンタクロースになってごみを拾う「ブルーサンタごみ拾い」が、NPO法人海さくらが中心となって全国で開催されています。2023年は、全国で1万2千人以上が参加しました。
2022年の開催では、東京2020オリンピック・パラリンピックから1年が経ったタイミングとなり、メイン会場となった神奈川県藤沢市の「片瀬東浜海水浴場」では、東京2020オリンピック・パラリンピックのボランティア参加者が、当時身に着けたボランティアユニフォームを着用し活動する姿もありました。
バリ島でSDGsの最前線を学ぶボランティアスタディツアー

日本財団ボランティアセンターでは5泊6日で、インドネシアのバリ島ウブドを拠点に、持続可能な地球の未来を考える海外ボランティアプログラム「地球の未来を考えよう SDGsのその先へ in バリ島」を実施しています。観光地として知られるバリ島は、ゴミ問題、環境問題、貧困問題など多くの社会課題に向き合い、持続可能な社会の実現に進み続ける最前線です。
参加者は、SDGsに関わる様々な体験を行い、そのうちの一つとして、バリ島最大のゴミ山「Suwung(スウン)」を訪問しました。その後、活動の拠点としていたウブドでゴミ拾いを行いました。
45分間、黙々と拾い続けたゴミの総重量は約51.5㎏。参加者からは、「ビニール袋やペットボトルは土に埋まっていて取り出すことが難しかった。改めてプラスチックは分解されないのだと思い知らされた」「一人では大変なことも、みんなで拾えばあっという間」と感想が挙がりました。
海外ボランティアプログラム「地球の未来を考えよう SDGsのその先へ in バリ島」の詳細はこちら
マレーシア・ボルネオ島「オランウータンの森再生プロジェクト」

日本財団ボランティアセンターでは、マレーシア・ボルネオ島(カリマンタン島)で熱帯雨林の保護と再生を目的に、10年間で10万本の植樹を目指すプロジェクト「オランウータンの森再生プロジェクト」を立ち上げました。
世界で3番目に大きいボルネオ島は、島の大半が熱帯雨林に覆われ、多種多様な生物が生息しています。
しかし、近年、島の熱帯雨林が急速に減少し、2015年には熱帯雨林の面積が約3分の1にまで減ったといわれています。
原因の一つは、インスタント麺やスナック菓子の製造の用途などで使われるパーム油の原料を取るためのアブラヤシ農園の拡大です。

プロジェクトの中で、学生ボランティアは先住民族と2人1組でバディとなり、植樹活動を進めました。2024年9月までに、約1万本を植樹しました。
ボルネオ島「オランウータンの森再生プロジェクト」の植林活動の詳細はこちら
まとめ
SDGsは大きな目標で、国家レベルでの取り組みが必要な目標は少なくありません。ただ、自分から遠いものと感じ過ぎず、身の回りの行動で取り組めることも多くあります。ボランティアはその一つのアプローチ方法であり、個人個人の積極的な参加が大きな目標の達成につながっていく可能性を秘めています。
ぜひ、参加を考えてみてはいかがでしょうか。
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参考資料
・公益財団法人日本ユニセフ協会”持続可能な世界への一歩 SDGs CLUB” https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/(参照2024‐09‐04)
・SDSN”持続可能な開発報告書2024” https://sdgtransformationcenter.org/reports/sustainable-development-report-2024(参照2024‐09‐04)
・JETRO”プラスチック、繊維製品の廃棄物削減に向けて進む官民の取り組み(フランス)”https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2021/1101/3392080adf7bb567.html#:~:text=%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E6%94%BF%E5%BA%9C%E3%81%AF2018%E5%B9%B4,KB%EF%BC%89%E3%80%8D%E3%82%92%E7%AD%96%E5%AE%9A%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82 (参照2024‐09‐04)
・YOUNG GERMANY ドイツ発ライフスタイル・ガイドbyドイツ大使館”まだ食べられる廃棄処分食材の、新たな循環を生み出すクリエイティブなスーパー『SirPlus』”https://young-germany.jp/2020/01/asillustrator09/(参照2024‐09‐04)
・一般社団法人全国フードバンク推進協議会”フードバンクとは”https://www.fb-kyougikai.net/foodbank(参照2024‐09‐04)
・日本財団ジャーナル”貧困対策だけではないこども食堂の役割。医師が考える食を通じた「健全な社会づくり」とは”https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/85202/childcare#:~:text=%E3%81%93%E3%81%A9%E3%82%82%E9%A3%9F%E5%A0%82%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E8%B2%A7%E5%9B%B0,%E3%81%82%E3%82%8B%EF%BC%88%E2%80%BB%E8%B3%87%E6%96%991%EF%BC%89%E3%80%82 (参照2024‐09‐04)
・岐阜県”学習支援ボランティアの募集”https://www.pref.gifu.lg.jp/page/17382.html(参照2024‐09‐04)
・一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブ”スポGOMIとは”https://www.spogomi.or.jp/about/(参照2024‐09‐04)
・日本財団ボランティアセンター”東京2020オリンピック・パラリンピックから1年、海への感謝を込めてボランティアユニフォームでゴミ拾い”https://vokatsu.jp/journal/20220808-1/(参照2024‐09‐04)
・日本財団ボランティアセンター”「地球の未来を考えよう SDGsのその先へ in バリ島」を通して向き合う、持続可能な世界とは(後編)”https://vokatsu.jp/journal/20230418-2/(参照2024‐09‐04)
・日本財団ボランティアセンター”10年間で10万本の植樹を目指す大型プロジェクト始動「オランウータンの森再生プロジェクト」”https://vokatsu.jp/journal/10%e5%b9%b4%e9%96%93%e3%81%a710%e4%b8%87%e6%9c%ac%e3%81%ae%e6%a4%8d%e6%a8%b9%e3%82%92%e7%9b%ae%e6%8c%87%e3%81%99%e5%a4%a7%e5%9e%8b%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b8%e3%82%a7%e3%82%af%e3%83%88%e5%a7%8b/(参照2024‐09‐04)