日本財団ボランティアセンターでは、11月23日(木・祝)に、東京都港区の日本財団ビルにて「ミドルとシニアのボランティアEXPO」を開催しました。
今年の5月には、大阪市内にて「大学生のためのボランティアEXPO in 大阪」を開催しました。2回目の開催となった今回のボランティアEXPOでは、ミドルとシニア世代がボランティア活動や社会貢献活動と出会う場をコンセプトに、ボランティア活動への参加に繋げることや、来場者自身の興味や関心を広げることを目的としています。
本イベントには、国際支援、子ども支援、災害、スポーツなどの多様な分野において、それぞれ活動を行うボランティア団体や企業、法人など15団体が参加しました。
イベントの当日の様子や、来場者と参加団体スタッフへのインタビューを紹介します。
ボランティアとの出会いを求めて、130人が来場!
13時の受付開始を皮切りに、来場者が続々と会場にやってきます。
来場者は18歳以上を対象とし、事前にぼ活!サイトにて募集を行いました。事前申し込みでは、申込締切を前に募集定員に達するほどの人気ぶりで、イベント当日は130名と多くの人が来場しました。
受付を済ませた来場者は2階に移動をし、オープニングが始まるのを待っています。「お隣、座ってもいいですか?」「まず初めに、どちらのお話を聞かれる予定ですか?」といった来場者同士の会話が聞こえてきました。初めて会う人とも気軽に会話し合いながら、EXPOの始まりを今か今かと待ち望んでいる様子です。
ボランティアで人生を豊かに、アクティブに、そして健康に
オープニングでは、ボランティアEXPOの開催に先立ち、日本財団ボランティアセンターの山脇康会長より開会の挨拶がありました。
「様々な分野で、それぞれボランティア活動を行っている団体が一堂に会する機会は滅多にありません。このボランティアEXPOが、皆さんの人生を豊かに、アクティブに、健康にするきっかけになってくれたらと思います」
会場を巡り、多様なボランティアと出会う
いよいよ、「ミドルとシニアのボランティアEXPO」が始まります。
来場者が興味のある分野や参加団体の部屋を訪れ、参加団体の活動紹介を受けるトークイベントや、ボランティア活動や終活に精通しているゲストスピーカーを招いた講座やセミナーに参加しました。
40分〜60分を1つの時間帯とし、14団体が5つの部屋に分かれ、団体の活動紹介やボランティア活動の案内などを行います。来場者は、各時間帯ごとに自分の興味のある分野や参加団体の会場を自由に訪れ、参加団体の話に耳を傾けました。
さらに、会場には活動の詳細や応募方法などを各団体担当者に直接相談できる「個別相談ブース」や、参加団体以外からのボランティア募集に関するポスター・チラシ展示から、自分に合うボランティア活動を探す「ポスター・チラシ展示ゾーン」が設けられ、自分の興味のある団体の担当者と話し込む参加者の姿も見られました。
参加団体のスタッフやその団体で活躍するボランティアの方々にインタビューを行いました。
公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン
「公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン」では、自宅から遠く離れた病院に入院・通院する子供に付き添うご家族に「第二のわが家」を提供することを目指す滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス(以下ハウス)」の運営を行っています。現在、日本に12ヵ所開設されているハウスでは、地域ボランティアが清掃活動やご家族に温かいご飯を提供するミールボランティアなどの幅広い活動を行っています。
当日、会場では実際にハウスで活躍する3人のボランティアの方にお話を聞きました。
来場者に向けて、自身の体験談をお話したという吉村みどりさん(写真中央)は、ハウスのボランティアを始めたきっかけについてお話されたそうです。「社会や誰かのためにはじめたボランティアが、いつの間にか自分のためになっています。ご家族や他のボランティアの方とお話をすることを通して、コミュニケーション能力が向上するなど、自分の成長を感じています」とボランティアの魅力を語ってくれました。
松田芳典さん(写真左)と氣田安代さん(写真右)は、来場者の方との個別相談を担当されたそうです。
自分自身もシニア世代という松田さんは、来場者の方と同じ目線から相談を受けることができたといいます。「自分が初めてボランティアに挑戦する時にも、自分にボランティアができるのだろうかという不安がありました。不安を抱えている来場者の方には、予備知識や無理をすることなく誰でもボランティアを始めることができますよと強調してお伝えしました」
また、ハウスボランティアを始めて1年目のボランティア初心者だという氣田さんは、「自分はボランティアを始めたばかりです。来場者の方の悩みや疑問を聞く中で、新たな発見やハウスボランティアの知識を深めることに繋りました」とボランティアEXPOの感想を語ってくれました。
事務局スタッフとして参加されたおふたりにも、感想を伺いました。
「この機会が無かったら、あの来場者の方と繋がることができませんでした」と、来場者との出会いが印象深く残っていると話してくれたのは、フィールドコンサルタントを務める任田ひろみさん(写真 左)。2階会場で行われたトークイベントで、自宅の近くにハウスがあることを知った来場者の方が、説明会後に1階の個別ブースに足を運んでくれたそうです。
事務局長を務める田村みどりさん(写真 右)は、私たちの活動分野以外に興味や関心を抱いている来場者の方とも出会うことができたと振り返りながら、「ボランティアEXPOを活かして、ひとりでも多くのボランティアの方と一緒にご家族を支えることができるように活動していきたい」と今後の目標を語ってくれました。
スポーツの垣根を超えた、スポーツボランティアの玉手箱!
プロスポーツチームでは、ボランティアがホームゲームの運営サポートをするだけでなく、地域に根ざした活動も多いことから、ボランティアの存在が必要不可欠です。
「プロスポーツチームを支える一員になってみよう!」と題されたトークイベントには、神奈川県横浜市を本拠地とする男子プロバスケットボールチームの「横浜ビー・コルセアーズ」、2018年に開幕し、男子6チーム・女子6チームが参戦している卓球の「Tリーグ」、神奈川県川崎市を本拠地とするプロサッカークラブの「川崎フロンターレ」の3つのスポーツ団体がお話しをされました。
ひとつの会場でスポーツの垣根を超え、3つのプロスポーツチームからボランティア情報を得ることができる、とても珍しい機会です。来場者はチームスタッフからのボランティア活動の紹介や、実際にスポーツボランティアを行う方の体験談に熱心に耳を傾けていました。
川崎フロンターレ
川崎フロンターレでは、今シーズンは355名のボランティアが登録をしており、場内案内や場外イベントの補助などの活動を通して、円滑なホームゲームの運営を支えています。
川崎フロンターレでボランティアの窓口を担当されている営業部の田中信光さんは、ボランティアの方がどの場所でどのような活動をするのかを決めるなどシフトの調整を行っています。
「クラブでのボランティア経験が豊富な方が、初心者のサポートができるようにシフトを組むなど、人それぞれの経験によって、無理のない活動ができるように心がけています」
ボランティアEXPOについての感想を伺うと、「一緒に登壇した他のプロスポーツで行っているイベントについて知ることができました。私たちのチームにはない、新たな視点でとても面白いなと思いました」と、このボランティアEXPOがスポーツの垣根を超えた交流の場になったと話してくれました。
最後に、今後の目標を語ってくれた田中さん。「クラブが試合に勝って、タイトルを獲得することができるよう、ボランティアの方々と一丸となってクラブを支えていきたい」と力強く話してくれました。
ボランティアEXPO終了後、実際にボランティアEXPOに来場した方に感想や今後の目標を伺いました。
「デフリンピックと世界陸上に関する情報が聞けると知り、このイベントに参加しました」と話してくれたのは、東京2020オリンピックでのボランティア経験があるという𠮷川恵美子さん。2025年に東京で開催される、デフリンピックと世界陸上のボランティアに興味があるといいます。
「ボランティアEXPOで実際にお話を聞いたボランティアに参加することが目標で、そのために、手話にチャレンジしようと思っています」と今後の意気込みを語ってくれました。
大西哲雄さんは日頃から、被災地域で災害支援を行うボランティアの姿をよく目にするものの、今までボランティア経験がなく、初めてのボランティアを探すためにボランティアEXPOにやって来たといいます。
「ボランティアEXPOでは興味や関心のある災害ボランティアについての話を聞きました。今後は、ボランティアとして力になりたいと思います」と今後の意気込みを力強く語ってくれました。
ボランティア経験が豊富な小松原佳子さんは、自分のボランティアの幅を広げたいという思いから、ボランティアEXPOに参加しました。
「インターネットでボランティアを探すこともできるけれど、ボランティアEXPOでは、ひとつの場所でいろんなタイプのボランティア団体のお話を聞くことができました。ボランティアの活動の幅を広げながら、自分自身の人生の幅を広げることができたらと思います」と声を弾ませながら話してくれました。
ボランティアで、人生と社会に彩りを!
人生100年時代ーー。
日本は健康寿命が世界一であることから、長寿社会を迎えています。
来場されたミドルとシニア世代の方々に、今後の目標を伺うと「会社に注いでいた情熱を、今度は社会と自分に向けたい」「定年後の人生を、元気に楽しく過ごしたい」「お世話になった地域や社会に恩返しを」という声を多く聞きました。
また、参加団体のスタッフの皆さんも、自分自身のボランティアの体験談を魅力たっぷりにお話する姿や笑顔が、とても生き生きと輝いていました。改めて"ボランティア"は、人に彩りを与えてくれる存在なのだと思います。
「ミドルとシニアのボランティアEXPO」が、そんなボランティアの魅力を、これからボランティア活動への一歩を踏み出す皆さんに実感してもらう場になったのではないでしょうか。
ぼ活!では、ボランティア初心者が、ボランティアに参加する第一歩を踏み出すことができるよう、災害やスポーツボランティアなどについて分かりやすく学ぶセミナーを、対面やオンラインで随時開催しています。詳細は、「ぼ活!セミナー/イベントを探す」をご覧ください。
また、ボランティア活動の募集も、随時行っています。ボランティア活動の検索は「ボランティア活動を探す」をご覧ください。
YouTube日本財団ボラセン公式チャンネルでは、当日のダイジェストムービーを公開しています。ぜひ、ご覧ください。
TEXT by 樋口佳純
PHOTO by 鰐部春雄