レポート&コラム

ぼ活!初の海外ボランティア派遣!15名の大学生が挑んだウクライナ避難民支援活動

2022年7月7日
グローバル
ぼ活!初の海外ボランティア派遣!15名の大学生が挑んだウクライナ避難民支援活動

日本財団ボランティアセンター(以下、日本財団ボラセン)は、日本財団と連携し、ウクライナから隣国へ退避した避難民を支援するため、 5月〜10月にかけて、 15名を1グループとして各 2週間程度、 7回に分けて最大105人の日本人学生ボランティアをウクライナ隣国に派遣します。

1回目の派遣となったGroup1が5月30日~6月16日に、2回目と派遣となったGroup2が6月13日~6月29日に、派遣されました。今回は、Group1、Group2の活動を紹介します。

世界は常に相対的に動いているということを体感してほしい

今回の派遣にあたり、そのねらいについて日本財団の笹川会長は、「日本は島国であるためか、残念ながら日本を中心に世界を見るという習慣がある。世界は常に相対的に動いているということを体感して、世界あっての日本であるという考え方ができる経験の機会になればと思い、このプロジェクトを企画した」と4月27日に参加者募集開始と合わせて開催された記者会見で語りました。

参加者の募集は、5月10日まで「ぼ活!」上で行われ、約2週間の募集期間にGroup1 112名、Group2 117名のべ229名の申込がありました。書類審査や、オンライン英語力テストを経て、学校や専攻、年齢、出身地が異なる各グループ15名の合計30名の学生が全国から選考されました。

オリエンテーションで伝えられた心構え

成田空港を出発しフランス・パリを経由して、最初に到着したのがオーストリア・ウィーン。ここには、今回の本事業の協力団体であるSocial Work HUBのオフィスがあります。まず最初に学生たちは、オリエンテーションを受け、活動にあたっての心構えと注意事項が伝えられました。「チームの一員としてともに活動する意識を持つこと」、「自分が持っているスキル(語学、専攻、スポーツなど)を積極的に周りに伝える」、「今後の活動内容と場所は、とても流動的である。だからこそ、大事なのは準備と臨機応変に対応すること」
Social Work HUBのスタッフの話を真剣に聞く学生たちは、いよいよ活動が始まる高揚感と、まだ見ぬ現場に緊張感を持っているようでした。

活動の内容

オリエンテーションを終え、学生たちは陸路でポーランドへ移動し、本格的な避難民の支援活動がスタートしました。

学生たちが最も活動した場所が、プシェミシルにある避難民一時滞在施設です。
プシェミシルは、ウクライナとポーランドの国境から約10㎞離れた街で、ウクライナからつながる鉄道の駅もあるため、ウクライナから多くの避難民が訪れる場所です。

閉店した大型スーパーマーケットを利用し開設された避難民一時滞在施設は、飲食や衣類などの生活必需品が無料で提供され、簡易べットが並べられています。避難民が、ヨーロッパ各地へ向かうバスを待ったり、ビザ発給まで一時的に滞在できるようになっており、ピーク時には、3,000人~4,000人が滞在し、入館の受付が追いつかないほど人で溢れていました。しかし、現在は200人程が滞在するまでに落ち着いています。

学生たちは、この施設で昼シフトと夜シフトの2グループに分かれ、2交代制で活動しました。具体的な活動として、施設内の清掃や、飲食物の提供、物資や備品の管理、支援物資の仕分けなどを担当しました。

こうした活動は、Social Work HUBのスタッフや、施設内の別のボランティアから与えられたものではありません。学生たちが自ら別のボランティアや、支援団体に声をかけ、ひとつひとつ見つけた活動です。ボランティアにとって大切な姿勢である「自発性」や「自主性」を発揮し、積極的に活動に取り組みました。

しかし、活動の序盤は、自分に何ができるか分からず焦った学生も多くいました。そうした状況を変えてくれたのが施設にいる避難民の子どもたちでした。

ウクライナ語しか話すことができない子どもたちに対して、学生たちは「最初はうまくコミュニケーションがとれるかのか不安だった」そうですが、子どもたちの方から積極的に学生たちに歩みより、一緒に絵を書いたり、サッカーをしたり、お互いの言語が分からなくても楽しくコミュニケーションをとり、子どもたちと学生たちの絆は深まっていきました。帰国後も、子どもと連絡を取る学生もいます。

同世代から学んだ強い意思

また、学生たちはポーランド南部の都市クラクフにある教育支援施設でも活動を行いました。

クラクフの教育支援施設では、様々な理由で現地の学校に通うことができないウクライナの中高生が通っています。
学生ボランティアは、日本の中高生の学校生活を紹介したり、お互いの母国語を教えあうなどして生徒たちと交流を深めました。

様々な人々が行き交う国境で感じたこと

プシェミシルから車で15分程移動した街メディカにある国境検問所周辺を全学生が見学し、Group2ではゴミ拾いの活動を行いました。

現在は、ウクライナに戻る人々も多くなっています。他国での生活になじめなかった人、仕事のために戻る人、学生ボランティアが見学に訪れた時にも、ウクライナに入国するために車が長蛇の列をなしていました。しかし、今もなおウクライナからポーランドに入国する人の流れも止まることはありませんでした。

国境付近で、ウクライナからの避難民の受け入れをサポートした学生は、一人の女性の姿が印象に残っていると話してくれました。
「キーウから耳の不自由なお父さんと避難してきた25歳の女性が、笑いながら息を吐くように、『私は今日25年間の人生全てをこのスーツケースに詰めてきた』と言いました。帰国後もずっと、その言葉が持つ重みを考えています。」

メディカでの滞在はわずかでしたが、様々な人々が行き交う国境では、人々の表情や言葉のひとつひとつが学生に強い印象を与えていました。

支援活動以外からの学び

今回のプログラムでは、支援活動以外にも、アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所の見学や、ポーランドで最も古い大学であるヤギェウォ大学の講義を受けるなど、ポーランドの歴史や文化に触れる機会もありました。

多くの避難民との出会いを通して、ウクライナで起きている軍事侵攻が他人事ではなくなった学生たちにとって、アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所の見学は印象深いものになっていました。

当時の面影がそのまま残る施設、収容された人々の遺品から、学生たちは平和への強いメッセージを受け取りました。

共に支え合い、強い絆で結ばれた15名の仲間たち

一人ひとりの学生に大きな気づきや学びを与えたのは、支援活動や避難民との出会いだけではありませんでした。
全国から集まった15名の仲間たちとの出会いからも、学生たちは多くの刺激を受けました。

異国の慣れない環境で、体力的にも精神的にも苦しい時もあったはずですが、活動する中で固い絆で結ばれ、お互いに励まし合いながら、2週間を過ごしました。

Group1やGroup2の学生たちの活躍は、様々なメディアにも取り上げられました。

そうした影響もあり、6月に募集されたGroup3、Group4には、Group1,Group2の申込者の約4倍となる、のべ800名の申込みがありました。
選考された各15名の学生は、8月に派遣されます。

7月7日(木)からは、Group5、Group6の募集が開始されます。締切は7月18日13時まで、8月下旬から9月末までの間に2週間派遣されます。

The Volunteer Program for Ukraine【Group5】詳細・申込ページ
https://vokatsu.jp/event/1656916873840×663742967505748000

The Volunteer Program for Ukraine【Group6】詳細・申込ページ
https://vokatsu.jp/event/1656921905375×191285932868501500

また、ウクライナへの軍事侵攻が開始されてから6ヵ月となる8月24日(水)には
Group1~3に参加した学生が参加して開催されるオンラインセミナー「学生たちが見たウクライナ避難民の今 ~The Volunteer Program for Ukraine 中間報告会~」を開催します。
一般の方もご覧いただけますので、ぜひご参加ください。
詳細・申込ページ
https://vokatsu.jp/event/1656914755547×976795706676215800

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