更新日:2024/8/8
海外ボランティアとは?
海外ボランティアと聞けば、海外に出てボランティアすることだろうなと想像はできても、実際にはどのようなことをするのか、どうやって参加するのかもわからないという方もいるのではないでしょうか?国際協力の現場を訪れ、世界にある課題を感じて向き合うことができる海外ボランティア。その活動内容や魅力、選ぶ際のポイントなどをご紹介します
(なお、日本にいてオンラインなどで活動し海外に貢献できるボランティアもありますが、ここでは実際に海外へ行くボランティアを対象とします。)
海外ボランティアはどんなことをするの?
海外ボランティアは、その名のとおり海外でボランティア活動を行うこと。NGO(非政府の国際協力組織)やNPO(非営利団体)などのプログラムで海外の支援活動現場に赴いたり、旅行会社のツアーを通して海外の施設を訪れたりして、見学・体験・交流・活動などをします。
ボランティアの分野や活動内容は、環境問題や貧困問題など様々です。世界中から集まるボランティアスタッフと寝食を共にする場合もあり、そうした中で語学を学べたり、異文化体験ができたりもします。
スタディツアーとボランティアプログラムの違い
海外ボランティアは海外旅行とは異なるため、外国に興味がある人でも、「いきなり現地に行ってボランティア活動ができるのか心配」という方も多いかもしれません。そこでまず知っておくとよいのが、海外ボランティアには、大きく分けて2つの種類があることです。現状を知り学ぶことが主となる「スタディツアー」と、実際の活動が中心の「ボランティアプログラム」があるので、自分に合ったものを選ぶことができます。
スタディツアーとは
スタディツアーの多くは、海外の学校や孤児院、高齢者施設などの施設を訪問し、視察や交流・ワークショップを行います。現地にどのような課題があるのか、どのような支援活動が行われているのかを知り、異文化交流や活動の体験もできるので、海外ボランティアに興味のある方の一歩目としてもおすすめです。
ボランティアプログラムとは
一方、ボランティアプログラムの多くは、現地で教育や保育、建設、衛生活動など実際のボランティア活動に従事します。短期間のものもありますが、長期間現地で生活しながら携わるものも多いので、より深く海外ボランティアとして活動に関わりたい方におすすめです。
海外ボランティアの種類と活動内容
海外ボランティアの分野は様々です。ここでは4つの例とその活動内容をご紹介します。
種類① 子ども・青少年育成ボランティア
子どもを守り、育てることに貢献できるのが「子ども・青少年育成ボランティア」です。学校や孤児院などで日本語や英語を教えたり、日本文化を伝えたりします。保育園や幼稚園、支援施設などで子どもの生活環境を整え、安心・安全な暮らしができるようにする活動や、学校自体を建設する活動もあります。
種類② 保健・医療・福祉ボランティア
介護が必要な高齢者や障害のある人たちの施設を支援するのが「保健・医療・福祉ボランティア」です。海外の老人ホームなどの施設で、身の周りのお手伝いや、リハビリ・アクティビティのサポートをします。
種類③ 自然・環境保全ボランティア
海外で環境問題に取り組む「自然・環境保全ボランティア」は、現地で生態調査や野生動物の保護活動、植林やゴミ拾いなどをして、生態系破壊や地球温暖化、砂漠化といった問題の解決を目指します。
種類④ 災害ボランティア
地震や台風などの自然災害が発生した際に募集されるのが「災害ボランティア」。被災地に出向き、ニーズを理解して復旧・復興のサポートを行います。
これらを参考に、自分の興味のある海外ボランティア活動を探してみましょう。
海外ボランティアの魅力
わざわざ遠い海外に出向き、日本とは異なる環境で活動する海外ボランティアの魅力とは何でしょうか?国を越えて人の助けになれるという面はもちろんですが、自分自身にも得られるものがあります。
海外ボランティアで得られる成長
英語力やコミュニケーション能力がアップ
海外での活動となるので、周りはもちろん日本人ばかりではありません。現地の方と関わるのはもちろん、プログラムによっては他の国からやってきた人もボランティアスタッフとして活動しているため、英語で会話をすることが多くなります。
日本人のスタッフやガイドが帯同するツアーやプログラムでも、外国の人と英語で言葉を交わす機会はあるでしょう。自然と英語に接し、なんとか伝え合おうとすることで、英語力やコミュニケーション能力が身に付きます。積極的に英語を話すよう努力すれば、その分英語力も向上していくはずです。
また、英語以外の言語が母国語や公用語となっている国では、現地の言語でも話すように努めることで、現地の方とより深く交流できます。スマートフォンの翻訳アプリなどのツールを使うのもおすすめです。
世界の現状を知ることができる
海外ボランティアに参加すると、テレビや新聞、ネットニュースを通して見聞きしたものとは異なる状況を目の当たりにすることがあります。特に、開発途上国や災害現場は、日本では伝えられているよりも過酷な環境であることもありえます。
そこにとまどいを感じるかもしれませんが、海外ボランティアを通じ、日本に留まっていては得られなかった刺激を受けるはずです。困っている人たちの想いを直接感じたり、精力的な活動を行う海外ボランティアの人たちと行動を共にしたりすることで、自分もより深く学びたい、解決のために何かしたいといった意欲が湧いてくるでしょう。
自分の世界と可能性が広がる
上記のように、日本ではできない経験をし、海外の人と関わりながら活動することで、コミュニケーション能力やスキルが培われます。その結果、大きな自信を得たり、新たな目標をもったりすることができるのも、海外ボランティアの魅力のひとつです。
海外が身近になり、将来日本以外の場所で働いたり、海外の人と関わる仕事をしようと思う方も出てくるでしょう。選択肢が広がり、感じた課題を解決するために新たな活動をするなど、決断力や行動力を発揮できる場も増えるはずです。
海外ボランティアでの経験が、自分の生きる世界や可能性を広げてくれるのです。
大学生・社会人、それぞれが海外ボランティアに参加するメリット
中学生や高校生のうちから海外ボランティアに興味をもつ方もいますが、実際には休暇期間が長い大学生や、資金を貯めた社会人が海外ボランティアに参加することが多いでしょう。ここでは、それぞれの立場で海外ボランティアをするメリットをご紹介します。
大学生が海外ボランティアに参加するメリット
海外ボランティアをするための時間を確保しようとしたとき、社会人になってからでは、仕事の都合で休暇の取得や退職が難しくなる可能性がありますが、大学生であれば夏休みをはじめとした長期の休暇があります。その間は勉強の遅れを気にすることなく海外ボランティア活動に参加することができます。
学生のうちに海外ボランティア活動をすることで視野が広がり、将来進むべき道を考えるきっかけになります。就職活動でも、他の人にはない経験を語り、行動力があることなどを自信をもってアピールすることができるでしょう。
社会人が海外ボランティアに参加するメリット
一方、一定期間働き収入を得た社会人なら、渡航費用がかかる海外ボランティアプログラムにも参加しやすくなります。
現地では、それまでの社会経験や仕事で培ってきた知識やスキルを活動に活かすことができます。日本で職場と家の行き来の毎日だったような方も、海外ボランティア活動をすることで、以前は関わりのなかった分野の方たちとの出会いがあり、同じ目標に向かって活動する仲間を得られるでしょう。また、海外ボランティア活動で得た経験を帰国後の仕事に活かすこともできます。
海外ボランティア選びでチェックしたいポイント
実際に海外ボランティアをするプログラムやツアーを選ぶ際、どのようなことを考慮して決めればよいのでしょうか?海外での貴重な機会なので、自分のやりたいことができる場を選びたいものです。それに加えて、環境や費用などさまざまな条件を確認し、自分に合ったものを選択できるようにしましょう。
海外ボランティア選びのポイント① やりたいことやスキルが活かせるか
自分がやりたいことや興味をもっていることに関われるかどうかは、モチベーションを大きく左右します。まずは、ご自身がやってみたいこと、関心のある分野から探してみると良いでしょう。
子どもが好きで支えたいという方は、子ども・青少年育成ボランティアがおすすめです。自然環境に興味があり大学で学んでいた、仕事で関わっていたという方は、自然・環境保全ボランティアの活動ができると、意欲がさらに高まるかもしれません。看護や介護の現場で働いたことがある方なら、保健・医療・福祉ボランティアや災害ボランティアでも、その知識や経験を活かせるでしょう。
英語が話せないと海外ボランティアに参加できない?
スキルの面で、英語が話せなくても大丈夫なのかが気になる人も多いかもしれません。海外ボランティアでは英語が話せればプラスにはなりますが、必須であったり、高い英語力が必要かというと、そういうものばかりではありません。
確かに、英語を話せるとよい場面もあります。英語で話すことで、現地の人々や他の国から来ているボランティアと交流することができるためです。日常的な会話は、中学校で習った程度の英語力があれば成り立つと言われています。施設や活動に関する説明を聞いて理解し、わからないことは質問することで、活動の幅がより広がるでしょう。もしも英語が話せないことがネックなら、日本人スタッフがいるスタディツアーから参加してみるとよいでしょう。
ただ、海外ボランティアが活動をする場所は、英語を母国語や公用語としない国も多いです。そんなときは、英語よりも滞在する国の言語を覚えることで、交流を深めることができます。また、言葉が通じなくても常に笑顔で接したり、身振り手振りで伝えたりすることも大切になります。語学の堪能さ以上に、積極的に動き回る行動力と、日本とは異なる環境で活動する適応力が求められるのです。
初心者が選びやすい海外ボランティアは?
海外ボランティアに参加してみたいけれど、初めてで不安もあるという方は、冒頭でご紹介したスタディツアーで学びながら少し体験してみるというのも一つの手です。宿泊先がホテルのものや、日本人のガイドが付くものもあるので、まずは整った環境で活動を体験してみたいという方も選びやすいでしょう。また、大学生の場合は、大学がボランティアプログラムを企画している場合もあるので、ご自身が通っている大学で一度確認してみてはいかがでしょうか?
海外ボランティア選びのポイント② 期間を決める
海外ボランティアプログラムの期間は、1~2週間以内の短期間のものや、3週間から2ヵ月ほどの中期のもの、3ヵ月以上から1〜2年かけて行う長期のものがあります。少し体験してみるために数日行ければよいのか、長い期間かけて活動していきたいのか、また学校や仕事を休める期間なども考慮しながら、海外ボランティアの参加を決めましょう。
海外ボランティア選びのポイント③ 費用を比較する
海外ボランティアの費用については、プログラムによって異なります。数万円の登録料がかかるものや、航空券や宿泊場所などを一括で手配してもらえるものなど様々です。費用の他にも、食事や宿泊場所の手配など条件は異なるので、事前に情報を集めて比較してみましょう。
ぼ活!では、無料または少額で参加できる海外ボランティアプログラムやボランティアスタディツアーを提供しています。
海外ボランティア選びのポイント④ 安全性を確認する
日本は治安がよいことで世界的にも有名な国です。海外で活動する上では、日本で生活する以上に治安に対して注意を払うことが必要になります。例えば、公衆の場で財布やスマートフォンをむやみに出さないようにすること、持ち物は身から離さず、バッグの口が人から見えにくいようにして持つこと、知らない人から声をかけられても誘いにのらないといったことです。
また、海外ボランティアの現地で困ったことがあったときに、プログラムの実施団体などにすぐに対応してもらえるかどうかも重要です。緊急時の対応や連絡先は事前に確認するようにしましょう。災害ボランティアなどでは、事故のリスクが高い活動もあります。保険についても団体に確認するなどして、万が一に備えておくようにしましょう。
海外ボランティアの活動例
インドネシアで環境問題と未来について考えるスタディツアー
日本財団ボランティアセンターでは、2023年3月にインドネシアのバリ島ウブドを拠点とした「持続可能な地球の未来を考えるボランティアスタディツアー」を開催しました。一般社団法人Earth Companyの協力のもと。専攻や職業が異なる大学生5名、社会人4名が参加し、オーガニック素材を使った洗顔スクラブ作りをしたり、バリ島最大のゴミ山で環境問題を学んだりと様々な体験をしました。
母子に無償で医療を提供するブミセハット国際助産院や女性や、子どもへの支援を行うPKPコミュニティセンターを訪れ、創設者のお話を聞く場面も。そこでの対話を通じて自分自身と向き合い、社会課題の解決に貢献したいという思いを強くしたと語ってくれた方もいました。
インドネシアでのスタディツアーについて詳しくはこちらの記事をどうぞ
ぼ活!ジャーナル『「地球の未来を考えよう SDGsのその先へ in バリ島」を通して向き合う、持続可能な世界とは(前編)』
ぼ活!ジャーナル『「地球の未来を考えよう SDGsのその先へ in バリ島」を通して向き合う、持続可能な世界とは(後編)』
ウクライナ避難民支援のボランティア活動
また、2022年にはウクライナ避難民の支援を行うプログラム「The Volunteer Program for Ukraine」を実施し、ロシアによる侵攻開始後6ヵ月の間、近隣の国に学生ボランティア計101名を7回に分けて派遣しました。参加した学生ボランティアたちは、ポーランド南東部のプシェミシルや国境近くのメディカ、オーストリア・ウィーンなどを拠点に、避難民一時滞在施設にて活動。施設の清掃、支援物資の配布・管理、食事の提供などを行いました。
参加者の学生からは、困っている人から感謝されて自分が力をもらった、互いに言語は違っても楽しく会話できると知った、といった、現地に行ったからこそわかる感想の声も聞かれました。
ウクライナ避難民支援について詳しくはこちらの記事をどうぞ
ぼ活!ジャーナル『ぼ活!初の海外ボランティア派遣!30名の大学生が挑んだウクライナ避難民支援活動』
ぼ活!ジャーナル『101名の学生ボランティアを派遣 ウクライナ避難民支援活動「The Volunteer Program for Ukraine」派遣終了』
ぼ活!ジャーナル『私たちは本当に「何もできない」のか。ウクライナ避難民の支援現場で見えたこと』
あなたも勇気を出して海外ボランティアに参加してみたら、人の力になると同時に、得られるものがきっとあるはずです。興味がある方は、活動レポートも参考にしてみてはいかがでしょうか?
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ボランティア初心者から上級者まで、気になる情報がもりだくさんですので是非チェックしてみてください。
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参考資料
・株式会社アルク,“海外ボランティア”
https://anokuni.com/style/volunteer/(参照2022‐3‐20)
・一般社団法人ボランティアプラットフォーム(ぼらぷら),“【決定版】海外ボランティア完全ガイド~ピッタリの海外ボランティアの選び方~”
https://volunteer-platform.org/internship/#link01(参照2022‐3‐20)
・NPO NEWS,“海外ボランティアの種類や探し方。英語力はどれくらい必要か”
https://nponews.jp/volunteer/kaigai-volunteer3/#toc5(参照2022‐3‐20)
・KREDO IT ABROAD INC. HLCA,“参加費無料で海外ボランティアできるの?オススメ海外ボランティア特集”
https://hlca-english.com/blog/free-volunteer/(参照2022‐3‐20)