中学生・高校生とボランティア

まず、中学生・高校生はボランティアに参加ができるのでしょうか。ボランティアの定義から考えてみましょう。
ボランティアの定義
ボランティアの語源をたどると「自分の意思で行動する」という意味があります。つまりボランティアの定義は「自発的な意志に基づいて他人や社会に貢献する行為」のことを指します。
また、ボランティアには大切な4つの原則があります。
①自分から進んで行動する「自主性・主体性」
②ともに支え合い、学び合う「社会性・連帯性」
③見返りを求めない「無償性・無給性」
④よりよい社会をつくる「創造性・開拓性・先駆性」です。
中学生・高校生は参加できるのか?
定義や原則を見て分かるように、年齢が何歳以上でなければできないというものではありません。
そもそも、バスや電車で席を譲ることや、コンビニのレジの脇に置かれた募金箱におつりを入れることも立派なボランティアになります。こうした活動は知らず知らずのうちに小さいころから実践している人も多いかもしれません。
一方で、ボランティア団体等が主催するボランティア活動では、必ずしも中学生・高校生が全てのボランティアができるということではなく、募集要項に年齢制限や保護者の付き添い、承諾書が必要などの条件がついているケースがあります。参加する際はそうした情報を見るようにしましょう。
中学生・高校生がボランティアに参加して得られる4つのメリット
中学生や高校生といった未成年がボランティアに参加することでどういった経験や知見が得られるのでしょうか。
①経験値が得られる、視野が広がる
まず、得られるものとして経験値や広い視野が挙げられます。
中学生や高校生の場合、どうしても通っている学校が生活の中心になるケースが多いでしょう。クラスや部活、学外での塾のつながりなどもあるかもしれませんが、ボランティアはそれらと全く違う世界での体験ができます。
いわゆる「社会」での体験を重ねることで、見える世界や考え方が違うものになることが期待できます。ボランティアでの経験が、中学・高校を卒業した後の進路を考える上でも、役に立つ可能性があります。
②学外に交友関係ができる
塾や学外のスポーツクラブなど、学校と重ならない交友の輪を持っている学生も多いことでしょう。
ただ、ボランティアでできる交友関係の輪が決定的に異なる理由として、様々な経歴、バックグラウンドを持った多種多様な参加者と出会うことが挙げられます。
年代も大きく異なる人と関わることで、普段の友人関係とは違った見方や考え方を感じることができます。
③コミュニケーション力がつく
異なる年代や様々なバックグラウンドを持つ人と交流することは、共通の話題がない人と会話をする場面が増えることを意味します。つまり、同年代と話すこととは違う、コミュニケーションスキルが必要になります。
幅広い年齢層や価値観の人と関われる機会を提供してくれるのも、ボランティアの魅力の一つです。
④自己肯定感が芽生える
ボランティア活動に参加する中で、褒められたり認められたりする経験をすると、自分への自信や自己肯定感が芽生えます。
自己肯定感が高くなると、物事を前向きに捉えられるようになります。
中学生・高校生がボランティアに参加する上で注意するべき点
ボランティアは社会と関わる活動であるため、注意する点があります。
ボランティアに参加する団体を確認する
まずは参加する団体をしっかりと確認しましょう。安心して活動をするためにも、運営をしている組織や事業内容がどういったものなのかを見極めることは欠かせません。
悲しいことに、善意を利用し募金詐欺を行う団体も存在します。団体がしっかりとした法人格を持っているかどうかや過去の活動実績といった観点をチェックしたり、周りの大人に相談したりするのもいいでしょう。
保険に入る
ボランティアをするにあたって、ボランティア保険に入ることも考慮しましょう。
ボランティア保険とは、ボランティア活動中に自分自身がケガをした場合や、事故で他人をケガさせたり、物を壊したりした場合の補償に備えるための保険です。
ボランティアの移動中の事故もカバーしてくれます。
主催者や参加する団体が用意してくれる場合もあります。
▼ボランティア保険の基礎知識はこちら
ボランティア保険とは?対象の活動や加入方法をわかりやすく解説 | ぼ活!
中学生・高校生がボランティアを選ぶポイント
興味のあるジャンルから選ぶ
スポーツや芸術に関わるもの、花壇の管理や地域イベントの運営でまちづくりに関わるものなど、ボランティア活動のジャンルは幅広くあります。まずは、自分の興味のある方向性の話題と関連性があるボランティアはないか探してみましょう。
将来の夢から逆算して、その分野に近そうなボランティアを探すのもよいでしょう。
▼ボランティアの種類や活動例の基礎知識はこちら
ボランティアの8つの種類と活動例。社会人や学生におすすめの活動とは| ぼ活!
夏休みなどの長期休暇などボランティアに充てられる時間から選ぶ
学校生活で忙しい中で時間をやりくりすることになるので、活動頻度や期間から自分に合う活動を探すこともひとつの手段です。
継続的なものであれば、学校生活と両立できる活動頻度であるかを考えて参加を決めましょう。また、夏休みなどの長期休暇にあたる7月や8月の期間に中高生を対象にしたボランティアを開催しているケースもあります。
「ボ学」でボランティアについて知ろう
日本財団ボランティアセンターでは、中学校を対象にボランティアに関する特別出前授業「ボ学」を開催しています。
ボランティア経験者が講師となって、道徳や総合学習の時間に、体験談を交えながらボランティアの魅力や社会的な意義を生徒に伝えます。
初年度の2022年度には埼玉県、東京都、神奈川県の7校、2023年度は埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、長野県、大阪府、兵庫県の34校で開催。生徒や教員から「ボランティアに対する考えが広がった」など数多くの声が寄せられています。
中学生・高校生におすすめのボランティア活動例6選

①ゴミ拾いボランティア
場所は公園、河川、海岸、街中などを対象に清掃活動を行います。
短時間で参加できる活動もあり、参加のしやすさも魅力です。
ただ、ゴミを拾うだけでなく、お相撲さんと一緒にゴミ拾いをしたり、スポーツのように制限時間内に取ったゴミの量や重さを競うボランティアイベントの開催もあります。
②スポーツボランティア
スポーツボランティアは、様々な種類の競技や規模の大会の運営に関わる多くの活動内容があります。マラソンであれば、給水や会場内の誘導、参加者の受付などを行います。
親子であれば18歳未満でも参加できるものもありますし、高校生が応募できる募集もあります。
過去に開催された「カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 東京プール」のボランティアの詳細はこちらから
▼カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 東京プールの活動レポートはこちら
大会史上初のボランティアが運営をサポート!のべ1,130名が参加!2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™
「フコク生命 2023 グリーンリボン ランニング フェスティバル ボランティア」の過去にあった募集の詳細はこちらから
③募金活動ボランティア
災害や植林活動を行う団体や、海外の途上国への支援などで行われる募金活動のボランティアも中学生や高校生ができるボランティアです。
日本財団ボランティアセンターでは、2024年の元旦に発生した「能登半島地震」の直後にも街頭募金活動を行いました。
2024年1月に行われた能登半島地震の募金活動の詳細はこちらから
④農業ボランティア
人手が足りない農業を支援する援農ボランティアも中学生や高校生の参加可能なボランティアです。農園の整備や収穫など幅広く農業に関わることができます。
日本財団ボランティアセンターでは福島県の農園でフルーツやオリーブを収穫するボランティアを開催しました。
⑤環境保護・植林活動ボランティア
環境保護ボランティアは、清掃活動に含まれるようなゴミ拾い、美化活動のほか、森林を保全するための植林、間伐(森林を適正な密度にするために間引く)といった活動が含まれます。この中にも中学生や高校生が関われるものがあります。
⑥国際ボランティア
海外ボランティアは、海外で社会や人に貢献していくボランティアです。国際交流を深め、語学力を身につけることも期待できます。
海外ボランティアには、ボランティアプログラムが組まれていて、実際にボランティアに従事します。一方で、海外の学校や孤児院、高齢者施設などの施設を訪問し、視察や交流・ワークショップを行うスタディツアーというものもあります。こちらは現状把握や現地を学ぶことがメインのため、初めての方が参加するのに向いています。
ボランティアに参加した中学生・高校生の体験談
オランウータンの森再生プロジェクトを経験した高校生の体験談

日本財団ボランティアセンターは、マレーシアのボルネオ島で、植林活動を実施しています。オランウータンが生息するこの熱帯雨林は、パーム油を取るためのアブラヤシ農園の拡大で大幅にその面積を減らしています。
ここで2024年2月に行われた植林活動に参加した、当時高校3年生だった亀田紗良さんの感想をご紹介します。
亀田さんは、このボランティアに参加するまでにも、ボランティアの参加経験がありました。

亀田紗良さんの感想
これまでの経験の中で、ボランティアとは「受け入れ先の抱える問題」を、「問題を解決できる能力がある人」が行うものと感じていました。
ただ、この植林活動の中で、ペアになって植林活動にあたっていた現地スタッフの方々は私たち参加者よりも圧倒的に技量があり、自分たちが関わることでむしろペースを落とさせているという罪悪感すら芽生えました。
しかし、現地スタッフのみなさんは私たちを邪見にすることなく、むしろサポートをより手厚くしてくれたり、活動を進める中で様々な知識を教えてくれるようになっていきました」
自分たちのようなボランティアが植林活動をするために日本から来たことで、それまで「仕事」として植林をしていたワーカーさんたちが、「環境保護」という意義もあることを感じて意欲的になってくれたのではないかと感じ、うれしくなりました。
自分のボランティア活動で周りの人の意識を変えることができる可能性を知ったといい、今後も活動を続けていきたいと決意を新たにしました。
ジャパンビーチゲームズフェスティバル®おだいば2024
2024年5月に東京都港区お台場海浜公園内のおだいばビーチで、ビーチスポーツを体感できるイベント「ジャパンビーチゲームズフェスティバル®おだいば2024」が開催され、ぼ活!で募集されたボランティアが運営をサポートしました。
この活動では、親子でボランティア参加できる「親子ボランティア」が募集され、小学生や中学生がブース出展のサポートや会場のゴミ拾いなどの活動を行いました。
参加した中学1年生の岩部力さんと父親である知孝さんの感想を見てみましょう。

岩部力さんの感想
東京2020オリンピックの時に、都市ボランティアとしてイベント会場で父と一緒に活動をして、最初は少し不安だったけれど、楽しめたので、それ以降も活動しています。
人のためになる活動をして、ありがとうと感謝してもらえるのはうれしいし、やってよかったなと感じます。
父親・知孝さんの感想
東京2020オリンピックなどで自分がボランティアをやってみて、この経験を子どもにもやってもらいたいなと思って、一緒に参加し始めました。来場者や、周りのボランティアの人たちの動きを見ながら、自分から考えて行動することが必要なので、非日常での経験で学べることがあると思います。
中学生・高校生のボランティア参加方法
社会福祉協議会から探す
全国には都道府県と市町村に社会福祉協議会という、福祉を向上させるために様々な活動をする団体があります。
住んでいる場所に近い社会福祉協議会が興味のあるボランティアの募集を行っていないかチェックしてみましょう。
募集サイトから探す
インターネットで検索すると、NPOなどの団体が募集しているボランティアの案件が数多く出てきます。自分の関心に合い、中学生や高校生でも参加できる活動を探してみましょう。
ぼ活!では、中学生・高校生でも参加できるボランティアの募集をしています。興味のあるボランティアがあるか、ぜひチェックしてみてください。
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まとめ
ボランティアに年齢制限はなく、中学生や高校生でも貢献したいという気持ちがあれば参加することは可能です。成人に比べると年齢上活動に制約があることもありますが、自分の興味があったり、時間に余裕があって参加できそうな活動があった場合は、参加を考えてみてください。ボランティアだからこそ得られる体験、出会いがあるはずです。
参考資料
・日本財団ボランティアセンター”ボランティアとは?活動の定義や具体例をわかりやすく紹介”https://vokatsu.jp/knowledge/volunteer/ (参照2024‐09‐13)
・社会福祉法人名古屋市緑区社会福祉法人”緑区社会福祉協議会ボランティアセンターボ ラ ン テ ィ ア Q & A”https://nmidori-shakyo.jp/pdf/vol-qa.pdf (参照2024‐09‐13)
・日本財団ボランティアセンター”ボランティア保険とは?対象の活動や加入方法をわかりやすく解説”https://vokatsu.jp/knowledge/hoken/ (参照2024‐09‐13)
・日本財団ボランティアセンター”未来を広げる、ボランティアの特別授業「ボ学」”https://www.volacen.jp/project/vogaku/ (参照2024‐09‐13)
・日本財団ボランティアセンター”スポーツボランティア情報 ポータルページ”https://vokatsu.jp/link/ (参照2024‐09‐13)