更新日:2024/9/12
ボランティアとは
ボランティアの定義
子供たちの登下校の安全管理や地域のゴミ拾いなど身近なことから、災害時の支援活動まで、あらゆる場面でわたしたちの生活を支えているボランティア。 そもそもボランティアとはどういうものなのでしょうか?
ボランティアの語源をたどると「自分の意思で行動する」という意味があり、ボランティアの定義は、「自発的な意志に基づいて他人や社会に貢献する行為」のことを指します
ボランティアと言えば、「無償ボランティア」が一般的ですが、ボランティア活動を行い、金銭を得る「有償ボランティア」もあります。
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ボランティアの歴史
日本でボランティアモデルが確立されたのは、「ボランティア元年」と呼ばれる阪神・淡路大震災の年(1995年)のこと。当時、100万人を超える市民がボランティア活動に参加し、それによって全国でボランティア活動のイメージが定着しました。
その後、災害時に個人ボランティアの窓口となる「災害ボランティアセンター」が開設され、より効果的にボランティアを割り振ることが可能になりました。
その後も2011年東日本大震災や2016年熊本地震など、災害が頻繁に発生する日本において多くのボランティアが被災地の復旧・復興のために活動を行っています。
ボランティア「4つの原則」
ボランティア活動とはどうあるべきなのか。ボランティアを行う上で大切なポイントである4原則をご紹介します。
ボランティア4原則① 自分からすすんで行動する「自主性・主体性」
ボランティア活動は、人から強要されたり義務として行う活動ではなく、自分のやってみようという意思に基づいて始める活動です。
ボランティア4原則② ともに支え合い、学び合う「社会性・連帯性」
わたしたちの社会に存在するさまざまな課題を発見し、改善していくためには、ひとり一人がしっかりと考え、多くの人びとと協力しながら力を合わせて行動することが大切です。
ボランティア4原則③ 見返りを求めない「無償性・無給性」
ボランティア活動は賃金が目的なのではなく、活動によって充実感や達成感を得る活動です(ただし、交通費や食費、材料費などの実費については無償の範囲とされる場合もあります)。
ボランティア4原則④ よりよい社会をつくる「創造性・開拓性・先駆性」
目の前の課題に対して、何が必要で、改善のためにはどうすればよいか。ボランティア活動では、従来の考え方にとらわれずに、自由な発想やアイデアを大切にしながら、方法やしくみを考え、創り出していくことが大切です。
バスや電車で席を譲ることも、立派なボランティア活動の一環
みなさんにとってボランティアとは、NPOなどの団体や組織の主導のもと、みんなで社会のために何かをするという福祉的なイメージが強いかもしれません。
しかし、日本財団ボランティアセンターの参与を務める文教大学教授の二宮雅也(にのみや・まさや)さんは日本財団ジャーナルの記事において、ボランティアとは「やりたいことに対し自らの意志で行動すること」だと語ります。
「現代は、社会活動を支援することの意義が世の中に広まってきたので、ボランティアを支援する団体も増えてきました。しかし、そういった組織に所属して行うことだけがボランティアではなく、自分一人であっても目の前にある社会的ニーズに気づいて自発的に行動すれば、それはもう立派なボランティアなんです。
日常の中で、バスや電車で具合の悪そうな人を見つけて『席を譲ったほうがいいかな?』と思うことがありますよね。そこで実際に「席を譲る」ということができたとき、社会的ニーズ+自らの『やりたい』という思い+行動がワンセットになり、社会とのつながりを実感する。これこそボランティアの意義であるといえます。無自覚に行っている人もたくさんいると思います」(二宮さん)
自分が「やってあげている」という意識ではなく、自然に「やりたい」と思う気持ちと社会に求められる行動が、ボランティアのあるべき姿なのかもしれません。
>参考記事はこちら
ボランティアの活動例
実際にどのようなボランティア活動があるのでしょうか。日常的に活動を募集しているものから、災害時の支援まで様々な種類のボランティアが存在します。 年齢や性別に関わらず誰でも気軽に参加できるボランティアから、語学など専門的なスキルを活かすことができるボランティアまで様々。ここでは、その一例をご紹介します。自分の気になるボランティア活動を探してみましょう。
ボランティア活動の一例
・高齢者、子供や青少年を対象とした活動 福祉施設でのお手伝いやお話し相手、レクリエーション活動、野外活動、子ども食堂、児童養護施設、学習支援、フリースクールなど
・災害で被災した方を支援する活動 がれきの撤去や分別泥だし、室内清掃、引越しの手伝い、炊き出し、災害ボランティアセンター運営の手伝い、被災者の言葉に耳を傾ける傾聴活動サロン活動での交流、募金活動など
▼災害ボランティアについて詳しくはこちら
初めての方向け。災害ボランティア活動への参加方法や心得【基礎知識】
・自然や環境を守るための活動 街や河川、山や海でのゴミ拾い活動、リサイクル活動など
▼ゴミ拾いボランティアについて詳しくはこちら
海のゴミ拾いボランティア活動。初心者でも参加しやすい活動や参加方法
・イベント等の運営スタッフの活動 オリンピック・パラリンピックなどスポーツボランティア、地域のイベントへの協力など
▼スポーツボランティアについて詳しくはこちら
スポーツボランティアとはどんなもの?活動内容や参加するメリット、探し方を紹介
▼パラリンピックボランティアにについて詳しくはこちら
「大会の成功」を陰から支える。パラリンピックボランティアの活動例と体験談
・海外ボランティアの活動 現地の施設や学校での教育支援活動、健康・医療支援活動、防災・被災者支援活動など
▼海外ボランティアについて詳しくはこちら
海外ボランティアの活動内容は?【学生・社会人】種類や魅力、選び方を紹介
ボランティア活動例①:江の島のゴミ拾い活動「目指せ!日本一楽しいゴミ拾い!」
江の島の海を、かつて生息していたタツノオトシゴが返ってくる綺麗な海にすることを目指し、NPO法人「海さくら」が2005年から主催するゴミ拾いボランティア。「目指せ!日本一楽しいゴミ拾い!」を掲げ、ゴミ拾い+αの楽しい企画で注目が集まっています。2021年に開催された「ダンスdeゴミ拾い」では、総勢737名がゴミ拾いに参加しました。
▼その他、ゴミ拾いボランティアのレポートはこちら
東京2020オリンピック・パラリンピックから1年、海への感謝を込めてボランティアユニフォームでゴミ拾い
「軽石除去ボランティア in 与論島 ~キレイなビーチを取り戻そう!~」 で見えた軽石の現状とこれから
ボランティア活動例②:ウクライナ避難民支援ボランティア
日本財団ボランティアセンターは、ウクライナ避難民支援活動を行うプログラム「The Volunteer Program for Ukraine」を実施し、ロシアによる侵攻開始後の2022年5月~10月にかけて、学生ボランティア101名を7回に分けて派遣しました。
学生ボランティアは、ポーランド南東部のプシェミシルや国境近くのメディカ、またオーストリア・ウィーンなどを拠点に、避難民一時滞在施設にて活動し、施設の清掃、支援物資の配布・管理、食事の提供などを担当。施設には、子どもたちも多く滞在しており、学生たちは子どもたちと一緒に遊んだり、交流する時間を多く持ちました。
▼その他海外ボランティアのレポートはこちら
101名の学生ボランティアを派遣 ウクライナ避難民支援活動「The Volunteer Program for Ukraine」派遣終了
「地球の未来を考えよう SDGsのその先へ in バリ島」を通して向き合う、持続可能な世界とは 前編・後編
10年間で10万本の植樹を目指す大型プロジェクト始動 「オランウータンの森再生プロジェクト」
▼ボランティア活動の種類について詳しくはこちら
ボランティアの8つの種類と活動内容。社会人や学生におすすめの活動とは
ボランティア活動に参加するには
ボランティア活動への参加方法
では実際にボランティアをはじめるにはどうすればよいでしょうか。
参加方法はいくつかありますが、ここでは2つの方法をご紹介します。
参加方法① 社会福祉協議会のボランティアセンターに問い合わせる
最寄りの社会福祉協議会のボランティアセンターに問い合わせる方法です。ボランティアセンターとは、「ボランティアを募集する団体」と「ボランティアをしたい人」を繋げる施設です。 インターネット上でボランティアの募集を行っているサイトもありますし、電話やメールでの問い合わせや窓口相談に対応しているところもありますので、一度確認してみるといいでしょう。
参加方法② NPO・ボランティア団体等から探す
社会福祉協議会以外ですと、個別のNPO・ボランティア団体から応募する方法があります。NPO・ボランティア団体のサイトには様々なボランティア案件の情報が掲載されており、場所や日程、活動内容などから自分に合ったボランティア活動を探すことができます。
ボランティア活動の際に気を付けること
ボランティアは、誰かに強制されたり、義務で行ったりするものではなく、自分の考えで参加し、取り組むものです。「ボランティアをしてあげている」という気持ちではなく、お互いに助け合うという気持ちを持つことが大切です。
また、活動中はケガや熱中症に注意しましょう。ボランティア活動の現場では、ついつい一生懸命になりすぎて無理をしてしまうことがあります。こまめに水分・塩分補給をする、一定時間毎に必ず休憩をとるなど、いつも以上に注意が必要です。
必要に応じてボランティア保険に加入しよう
災害現場でのボランティア活動だけでなく、あらゆる場面においてもケガや損害に備えておく必要があります。ボランティア保険とは、ボランティア活動時に起きた自身のケガや、他人に対して損害を与えたことにより損害賠償問題が発生した場合に補償をする保険のことです。最寄りの社会福祉協議会で加入手続きを行うことができます。
▼ボランティア保険について詳しくはこちら
ボランティア保険とは?対象の活動や加入方法をわかりやすく解説
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参考資料
・スポーツボランティア読本,二宮雅也著,悠光堂,2017.1
・厚生労働省社会・援護局,“ボランティアについて”
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/dl/s1203-5e_0001.pdf(参照2022‐12‐22)
・東京ボランティア・市民活動センター,“ボランティア活動、4つの原則”
https://www.tvac.or.jp/shiru/hajime/gensoku.html(参照2022‐12‐22)
・社会福祉法人全国社会福祉協議会,“ボランティア活動保険”
https://www.fukushihoken.co.jp/fukushi/front/council/volunteer_activities.html(参照2022‐12‐22)
・公益財団法人 日本財団,”「ボランティア」は誰のため? その定義は? 専門家・二宮雅也教授に聞いた”https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99342/social_contributions(参照2024‐8‐15)